新人営業が成果を出すクロージングトーク例と商談を決める必勝テクニック

  • URLをコピーしました!

商談の最終局面である「クロージング」。
ここでうまく決められるかどうかが、営業成績を大きく左右します。
特に新人営業にとっては、クロージングの瞬間ほど緊張する場面はないでしょう。

しかし実は、クロージングとは“売り込む”ことではありません。
お客様に「納得して決めてもらう環境を整える」ことが営業の真の役割です。

この記事では、現場で即使える新人営業向けクロージングトーク例を紹介しながら、
成功率を劇的に高めるための心理的アプローチや会話の流れを詳しく解説します。

「押し売りにならないクロージング」を身につけることで、
お客様から自然に「お願いします」と言ってもらえる営業に成長できるはずです。

目次

クロージングの本質を理解することが成約の第一歩

営業で「クロージング」と聞くと、多くの新人が「契約を迫ること」だと思いがちです。
しかし、プロの営業にとってクロージングは“お客様の背中をそっと押す行為”です。

お客様が購入を迷っているとき、その迷いの理由は決して「商品が悪い」からではありません。
多くの場合は、「この選択で本当に良いのだろうか?」という不安や決断への恐れです。
つまり、営業の役割はその不安を取り除き、「安心して決断できる状況を作ること」なのです。


クロージングとは「決断のサポート」である

心理学的に、人は選択肢が多いほど行動を起こしにくくなります。
これを「選択のパラドックス」と言います。
営業の仕事は、その“迷い”を整理してあげることです。

例えば、お客様がこう言ったとします。

「うーん、少し考えさせてください。」

ここで「ぜひお願いします!」と押すのはNG。
正しい対応は次のようになります。

「ありがとうございます。もちろん、じっくりご検討いただくのが一番です。
ただ、せっかくなので、今の段階で“もう少し考えたい点”を整理しておきませんか?」

このように、お客様が決断しやすい状態をつくることがクロージングの本質です。
クロージング=「押す」ではなく、「支える」。
この意識を持つだけで、営業の印象が大きく変わります。


新人営業が陥りがちなNGクロージング3選

パターンセリフ例問題点
強引型「では今日ご契約でよろしいですね?」相手の心理的抵抗を生む
弱気型「よろしければご検討ください…」決断を先送りにしてしまう
長話型「もう少し説明させてください!」クロージングのタイミングを逃す

→ 共通点は「相手の気持ちより、自分の都合を優先している」こと。
クロージングで大切なのはタイミング・トーン・相手の温度感の3つです。


成功するクロージングの黄金ルール3箇条

  1. お客様の温度感を読み取る
     表情・うなずき・質問内容から「興味→確信→決断」のどの段階かを判断。
  2. 選択肢を狭める
     「導入しますか?」よりも「AとBならどちらが使いやすそうですか?」の方が決断しやすい。
  3. 最後まで笑顔で見送る
     断られても、笑顔で対応することで信頼が残る。
     クロージングは“次のチャンス”の始まりでもあるのです。

営業におけるクロージングは、技術よりも「心構え」が9割。
焦らず、お客様と“同じ方向”を向いて話す姿勢が成約への最短ルートになります。

新人営業がよく直面するクロージングの壁とその突破法

どれだけ話が盛り上がっても、最後の「決める」瞬間に沈黙が生まれる――。
これが新人営業にとって最も緊張する瞬間です。
多くの新人はこのタイミングで焦って余計な一言を言ってしまい、せっかくの商談を自ら壊してしまうことも少なくありません。

ここでは、新人営業がよく直面する3つのクロージングの壁と、その突破法を具体的に解説します。


①「いい話だけど、ちょっと考えたい」と言われる壁

営業あるあるの代表的なフレーズですね。
この言葉の裏にある心理は、「情報は理解したが、まだ決断の根拠が足りない」という状態です。
ここで焦って畳みかけると「押し売り」に見えてしまうので注意しましょう。

良い対応例:

「ありがとうございます。しっかり考えたいお気持ち、よくわかります。
ちなみに、今の時点で少しでも気になっている点があれば整理しておきましょうか?
実は他のお客様も、導入前に一度整理したことでスムーズに判断できたケースが多いんです。」

ポイント: 「考えたい=まだ情報整理が不十分」というサイン。
 “判断支援の姿勢”を見せることで信頼を深めることができます。


②「上司(または家族)に相談します」という壁

この言葉の多くは、「自分で決めるのが不安」という気持ちの表れです。
ここで「ではよろしくお伝えください」と言ってしまうのは非常にもったいない。

良い対応例:

「ありがとうございます。大事な決定ですから、しっかりご相談されたいですよね。
もしよければ、上司の方が気にされそうなポイントを一緒に整理してみましょうか?
ご説明用の資料もこちらで準備しておきます。」

ポイント: 決定者に会えない状況でも、“相談をサポートする立場”を取れば関与を続けられます。
 「この営業は頼りになる」と思ってもらえたら勝ちです。


③「もう少し比較してから決めたい」という壁

これは「良いけど、決め手に欠ける」という状態。
焦って「うちはここが違います!」と競合批判をするのは絶対に避けましょう。

良い対応例:

「ありがとうございます。比較されるのは当然のことですよね。
ちなみに、比較のポイントはどのあたりを重視されていますか?
その軸に合わせて、当社の強みがどう役立つか一緒に整理してみましょう。」

ポイント: 「比較=関心がある証拠」。
 この段階では“決断の基準作り”を手伝う営業になるのが最も効果的です。


壁の種類お客様の心理有効なトークの方向性
考えたい判断材料が足りない不安要素の整理を手伝う
相談したい決定の責任が不安社内共有の支援をする
比較したい決定の基準が不明比較軸を明確にするサポートをする

営業のクロージングとは「押すこと」ではなく「導くこと」。
お客様が自然に「この人となら安心して決められる」と思える状態を作り出すのが、真のクロージングです。

成約率を上げるためのクロージングトーク例集

ここからは、現場で即使える新人営業向けクロージングトーク例を紹介します。
シーン別に解説するので、自分の商材や商談スタイルに合わせてアレンジして使ってください。


① 「迷っているお客様」を後押しするクロージング

お客様のセリフ:
「悪くないけど、もう少し検討してみたいんですよね。」

効果的なクロージングトーク:

「ありがとうございます。慎重に検討されるのは素晴らしいことだと思います。
ちなみに、いまご検討されている中で“あと一歩”踏み切れない理由はどのあたりでしょうか?
もしご不安な部分があれば、そこを一緒に整理できるかと思います。」

ポイント:
 ・「なぜ迷っているのか」を明確にしてあげる。
 ・焦らず“質問”を使うことで、自然と会話が前向きになります。


② 「上司に相談する」と言われたときのクロージング

お客様のセリフ:
「ちょっと上司にも相談してみます。」

効果的なクロージングトーク:

「ありがとうございます。上司の方にもしっかりご理解いただくのが一番ですよね。
もしよければ、上司の方が気にされそうなポイントを先に整理しておきましょうか?
そのうえで、私から補足できる資料やデータをお渡しします。」

ポイント:
 ・“相談を手伝う営業”になることで、決定プロセスに関与を続けられる。
 ・「紹介してもいいかな」と思ってもらえる関係を築く。


③ 「価格」で迷っているときのクロージング

お客様のセリフ:
「いいと思うんだけど、ちょっと高いかな…。」

効果的なクロージングトーク:

「確かに、金額だけを見るとそう感じられる方は多いです。
ただ、導入後に“思っていたより安かった”とおっしゃる方も多いんです。
というのも、〇〇の効果で結果的にコストが下がるケースが多いからなんです。」

ポイント:
 ・価格の話を「価値の話」に変える。
 ・費用対効果のイメージを持たせることが鍵。


④ 「競合比較」の場面で使えるクロージング

お客様のセリフ:
「他社も検討していて、決めかねているんですよね。」

効果的なクロージングトーク:

「ありがとうございます。比較してしっかり決めるのは大事なことですよね。
ちなみに、他社様との違いで一番気になるポイントはどのあたりでしょうか?
その点に絞って、弊社でお手伝いできることを整理してみます。」

ポイント:
 ・競合を否定せず、「比較をサポートする立場」を取る。
 ・相手が決断しやすい“判断軸”を与える。


⑤ 「もう少し考えたい」という曖昧な返答のとき

お客様のセリフ:
「もう少し考えてみます。」

効果的なクロージングトーク:

「ありがとうございます。ゆっくりご検討いただくのが一番ですね。
ちなみに、具体的にどのあたりをもう少し考えたいと感じていらっしゃいますか?
そこを一緒に整理すれば、より明確に判断できるかと思います。」

ポイント:
 ・“考えたい理由”を具体化させる。
 ・話を続けることで、「検討=離脱」を防ぐ。


シーンお客様の発言効果的なクロージングの切り返し
迷い「考えたい」理由を質問で引き出す
相談「上司に聞く」相談を支援する姿勢を取る
価格「高い」価値・効果の話に転換する
比較「他社も見る」判断軸を一緒に整理する
曖昧「検討します」具体的な不安を引き出す

⑥ 「最終確認」クロージングで静かに背中を押す

最後の一押しは「静かに」行うのがプロのやり方です。
強引なセリフは逆効果になります。

理想的な一言:

「それでは、〇〇様の課題を一緒に解決していけるよう、私も全力でサポートします。
この内容で進めてよろしいでしょうか?」

→ この一言には“信頼・責任・共感”の三要素がすべて含まれています。
お客様が「この人となら進めたい」と思う瞬間を作り出すことが、クロージングの真髄です。

クロージングを成功させる心理テクニックと話し方のコツ

クロージングを「怖い」と感じる新人営業は多いですが、実は心理の理解と話し方を工夫するだけで成功率は大きく上がります。
ここでは、トップ営業が実践している心理テクニックと会話のコツを紹介します。


① 「Yesセット」で自然に同意を引き出す

人は小さな「はい」を積み重ねると、最終的にも「はい」と答えやすくなります。
これを営業心理ではYesセットと呼びます。

例:

営業「今日はお忙しい中ありがとうございます。○○の件でご興味を持っていただいたんですよね?」
お客様「はい。」
営業「実際に今の仕組みを改善したいと感じていらっしゃる、ということで間違いないですか?」
お客様「そうですね。」

→ このように“はい”を3回引き出してから提案を行うと、クロージングの際にも自然に頷きが得られます。
つまり、商談全体を通してクロージングの準備をしているのです。


② 「二択クロージング」で決断を促す

人は「やる・やらない」という二択では「やらない」を選びがちです。
そこで有効なのが、どちらを選ぶかの二択クロージングです。

例:

「こちらのプランはAタイプとBタイプの2つありますが、〇〇様の使い方だとどちらが良さそうですか?」

→ こう聞くことで、「導入する前提」で考えてもらえます。
選択肢を与えることで、相手の心理的抵抗を減らすことができます。


③ 「沈黙」を恐れず、相手に考えさせる

新人営業が最も苦手とするのが沈黙
しかし、トップ営業ほど沈黙を上手に使います。

お客様が考えているときに言葉を足すと、思考を遮ってしまうことがあります。
提案やクロージングを伝えた後は、一呼吸置いて、相手に考える余白を与えることが大切です。

「こちらの内容で進めていければと思います。……(3秒沈黙)」

この「3秒の間」が、決断を引き出す力を持っています。


④ 「社会的証明」で安心感を与える

お客様は自分の判断に自信を持てないことが多い。
そこで効果的なのが、他社事例や第三者の声を使う「社会的証明」です。

例:

「実は、同じ業界のA社様でも最初は迷われていましたが、導入後3ヶ月で成果が出て“もっと早くやればよかった”とおっしゃっていました。」

→ このように“他の人も決断して成功した”と伝えることで、安心して決められる心理的後押しを作れます。


⑤ 「相手の言葉を借りる」共感クロージング

お客様の発言をそのまま返して使うと、説得力が劇的に高まります。
人は“自分の言葉”には反論しにくいからです。

例:

お客様「確かに、業務効率は上げたいですね。」
営業「ですよね。つまり“業務効率を上げる”という目的を叶えるなら、このプランが最も効果的だと思います。」

→ このように、お客様自身の言葉を使ってクロージングすることで、押し付けではなく共感ベースの提案になります。


テクニック名内容効果
Yesセット小さな同意を積み重ねる自然な決断誘導
二択クロージング選択肢を提示する抵抗感の軽減
沈黙の活用考える余白を与える自発的決断を促す
社会的証明他者の成功事例を提示安心感の醸成
共感クロージングお客様の言葉を引用信頼と納得の強化

営業のクロージングは、“話す技術”よりも“間と心の使い方”が重要です。
沈黙・共感・選択肢、この3つを意識するだけで、自然な成約率アップが実現できます。

トップ営業が実践するクロージングの極意

営業の最終局面であるクロージングには、「型」以上に大切なものがあります。
それは、お客様と真正面から向き合う姿勢です。
ここでは、トップ営業が日常的に実践しているクロージングの極意を5つ紹介します。


① クロージングは「最初から始まっている」

多くの新人営業は、商談の最後になってようやくクロージングを意識します。
しかし、トップ営業は商談の冒頭からクロージングの準備をしているのです。

たとえば、ヒアリング中にお客様が「ここが課題なんですよね」と言えば、すかさずこう返します。

「なるほど。そこが解決できればすごく楽になりますよね。」

この一言で、お客様の「理想状態」を共有できます。
そして後半で「冒頭でお話しした“そこ”を解決できるのがこの提案です」とつなげれば、自然に成約の流れができます。

ポイント:
クロージングは“最後の一言”ではなく、“最初の一言”から始まっている。


② 「共感7割・提案3割」のバランスを保つ

トップ営業は、商談の中で“提案より共感”を多く使います。
なぜなら、人は「理解された」と感じたときにだけ「話を聞こう」と思うからです。

悪い例:
「弊社のサービスはここがすごいです。」

良い例:
「おっしゃる通りですね。実際に同じ課題をお持ちだったA社様でも、最初は全く同じ状況でした。」

→ 共感の言葉を重ねることで、「この人はわかってくれている」と感じてもらえる。
結果的に、クロージングでの“心理的ハードル”が圧倒的に下がります。


③ 断られたときの「余韻」を大切にする

トップ営業は、断られても表情を変えません。
むしろ、断られた瞬間こそ印象を残すチャンスだと考えています。

例:

「承知しました。正直、今回はタイミングが合わなかっただけだと思います。
またご状況が変わったときに、改めてお話しさせてください。
〇〇様の課題は、今後も必ず訪れるテーマですから。」

断られても笑顔を崩さず、余韻を残す。
この対応ができる営業は、半年後、一年後に“逆指名”で契約をもらえることが多いのです。


④ 「数字より信頼」を優先する

新人営業ほど「契約を取らなきゃ」と焦りますが、トップ営業ほど焦りません。
彼らは“今すぐの数字”より“長期の信頼”を優先します。

短期的には契約を逃すかもしれませんが、信頼を得たお客様は必ず戻ってきます。
そして、その紹介や口コミから次の商談が生まれるのです。

「焦って売るより、安心して買ってもらう」
これがトップ営業の共通マインドです。


⑤ 「断られても次につながるクロージング」を仕込む

クロージングの最終目的は“契約”ですが、次のチャンスを残すことも同じくらい重要です。

例:

「今回は見送りとのこと、承知しました。
ちなみに半年後にもう一度お話しできるとしたら、どんな情報をお持ちしたら良さそうですか?」

→ この一言で、“次回のアポイントメントの種”を残せます。
断られても終わらせず、継続関係を前提とした終わり方を意識するのがプロです。


トップ営業の極意内容成果につながる理由
クロージングは最初から提案準備を会話初期で行う自然な流れを作れる
共感7割・提案3割心理的抵抗を減らす信頼が生まれる
断られても笑顔良い印象を残す後日チャンスを得られる
信頼重視数字に追われない長期顧客を育てる
次への布石を打つ終わりを次につなげる継続営業が可能

営業において「一度で決める力」はもちろん重要ですが、
それ以上に価値があるのは「断られても関係を続けられる力」です。

クロージングとは“信頼関係の確認作業”である。
この意識を持つだけで、あなたの営業力は格段に上がります。

まとめ クロージングは「売り込む技術」ではなく「信頼を形にする技術」

営業におけるクロージングは、テクニックの積み重ねではありません。
それは、お客様との信頼関係を「契約」という形で結実させるコミュニケーションの最終章です。

この記事で解説したように、成果を出すクロージングには3つの本質があります。

  1. お客様の心理を理解すること
     迷いや不安の正体を見抜き、「安心」を提供できる営業になる。
  2. 自然な流れを作ること
     Yesセット・二択トーク・共感トークなどを活用して、無理のない決断を導く。
  3. 断られても終わらせないこと
     商談が成立しなくても、「また話したい」と思われる対応を徹底する。

クロージングとは、押すのではなく「支える」こと。
お客様が安心して“自分で決断できるように導く”ことこそ、営業の真の仕事です。

新人営業がこの意識を持てば、
どんなベテランにも負けない「信頼される営業」へと成長できます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次