新人営業が失注後に送るフォローメール例文集 信頼を残す言葉と次につなげる営業術

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営業の現場では、誰もが一度は経験する「失注」。
全力で提案したのに他社に決まったり、予算の都合で見送られたり――新人営業にとっては特に心が折れる瞬間です。

しかし、失注は「終わり」ではなく「次へのチャンス」
失注後のフォローメール次第で、相手の印象は劇的に変わります。
誠実な一通を送ることで、「この人は信頼できる」「次はこの営業に任せたい」と思われることも少なくありません。

この記事では、新人営業がそのまま使える失注後フォローメールのテンプレートと書き方のコツを紹介します。
一度の失注を“次の商談”につなげるための戦略を、心理学と実践トークを交えて解説します。

目次

失注フォローの目的を理解することが信頼営業の第一歩

「もう決まってしまった」と失注を報告されると、
多くの新人営業はその瞬間に気持ちが切れてしまいます。
しかし、本当の営業力は“失注後”に表れるのです。

ここでは、失注フォローの目的を明確にし、
なぜ“最後の一通”が将来の売上につながるのかを解説します。


① 失注フォローの目的は「信頼の維持」

失注フォローの目的は、「取り返すこと」ではなく「信頼を残すこと」
なぜなら、顧客の意思決定は現時点の状況での判断であり、未来は変わるからです。

状況顧客の本音営業の対応方針
他社に決定価格・仕様で判断誠実なフォローで印象を残す
予算見送りタイミングが合わない定期フォローで機会を待つ
社内稟議NG組織内の事情サポート姿勢で信頼を維持

失注は「縁がなかった」のではなく、「今は合わなかった」だけ。
将来的に状況が変われば、あなたの誠実さが“再接点”のきっかけになります。


② 失注後フォローが次の商談を生む理由

多くの営業は、失注した瞬間に顧客対応を止めてしまいます。
しかし、失注後にフォローする営業は1割未満
つまり、他の営業がやらない行動をするだけで差別化できるのです。

顧客はこう感じています。

「失注したのに、ちゃんと連絡をくれた。誠実な人だな。」

この“誠実さ”が、次のチャンスを呼び込みます。
特に法人営業では、担当者が異動したり方針が変わったりすることが日常茶飯事。
信頼を維持しておくことで、将来的に案件が戻ってくることが本当にあります。


③ 失注後フォローでやってはいけない3つのNG行動

NG行動内容顧客の印象
悔しさをにじませる「弊社の方が良かったのに…」未練がましい
すぐに別商品を提案する「では別プランを!」押し売り感が強い
無言でフェードアウトする何も連絡しない「あの営業、冷たいな」と思われる

失注直後は、感情よりも冷静さが大切。
フォローメールでは、“営業としての品格”を見せることが何より重要です。


④ 失注フォローの目的を一言で表すと?

「あなたの選択を尊重します。でも、またお力になりたいです。」

これが失注フォローの本質です。
負けを認めながらも、相手を応援する姿勢こそが“信頼の営業”です。


失注は、営業の終わりではなくスタート地点。
このマインドを持つだけで、他の営業と圧倒的に差がつきます。

新人営業でも使える失注フォローメールの実践例文集

失注後のメールは、わずか数行の文章で“あなたの営業力”が見抜かれます。
焦って送ると逆効果、沈黙しても関係が消える。
ここでは、信頼を残し、再接点を作るためのフォローメール例文をシーン別に紹介します。


テンプレ① 他社に決まったときのフォローメール(感謝+リスペクト型)

目的: 敗北を潔く認めつつ、印象を良く残す。

件名例:
【御礼】ご検討・ご商談ありがとうございました(株式会社〇〇・△△)

本文例:

株式会社□□
営業部 〇〇様

いつもお世話になっております。株式会社〇〇の△△です。

このたびはご提案の機会をいただき、誠にありがとうございました。
今回は他社様に決定されたとのこと、貴社のご判断を心より尊重いたします。

今後も〇〇様の課題解決に少しでも貢献できる機会があれば幸いです。
引き続き、業界動向や事例など有益な情報を共有させていただきます。

改めまして、このたびは貴重なお時間をありがとうございました。
今後とも何卒よろしくお願いいたします。

─────────────
株式会社〇〇
営業部 △△ △△
─────────────

ポイント:

  • 「決定を尊重する」という言葉で潔さを表現
  • 「情報共有を続ける」と次の接点を暗示
  • ネガティブさを一切感じさせない

テンプレ② 予算の都合で見送られた場合(再提案予告型)

目的: 時期をずらした再アプローチを前提に関係を継続。

件名例:
【ご検討御礼】ご予算調整に関するご連絡(株式会社〇〇・△△)

本文例:

株式会社□□
営業部 〇〇様

このたびはご検討いただき、誠にありがとうございました。
ご予算の関係で今回は見送りとのこと、承知いたしました。

貴社の現状を踏まえ、次回のご計画時期に合わせて
改めて最適なご提案をさせていただければと存じます。

その際には、今回のお打ち合わせ内容をもとに、
コストを抑えた別プランのご提案もご用意いたします。

今後とも変わらぬお付き合いを、何卒よろしくお願いいたします。

ポイント:

  • 「承知しました」で冷静に受け止める
  • 「次の提案を約束する」ことで関係を継続
  • 感情ではなくロジカルに締める

テンプレ③ 決裁が通らなかった場合(共感+サポート型)

目的: 顧客側の事情を理解し、味方営業として印象を残す。

件名例:
【御礼】ご提案の件に関するご連絡(株式会社〇〇・△△)

本文例:

株式会社□□
営業部 〇〇様

いつも大変お世話になっております。株式会社〇〇の△△です。

このたびは社内でご検討いただき、誠にありがとうございました。
結果としてご採用には至らなかったとのこと、
ご判断の背景も理解いたしました。

稟議の進行やご検討過程でお力になれることがございましたら、
いつでもお気軽にお声がけください。

引き続き、〇〇様のご発展を心よりお祈り申し上げます。

ポイント:

  • 「ご判断を理解しました」で受容を示す
  • 「いつでも相談ください」で関係を保つ
  • 稟議中のサポート姿勢が信頼を残す

テンプレ④ 反応なしでフェードアウトした案件への再接触メール(自然な再会型)

目的: 再提案ではなく、再会のきっかけを作る。

件名例:
【ご無沙汰しております】その後のご状況につきまして(株式会社〇〇・△△)

本文例:

株式会社□□
営業部 〇〇様

ご無沙汰しております。株式会社〇〇の△△です。

以前ご提案させていただいた〇〇の件、その後ご状況はいかがでしょうか。
直近では、同業他社様でも導入が進んでおり、
新しい事例などを共有させていただければと思っております。

タイミングが合いましたら、改めてご訪問の機会をいただければ幸いです。
今後とも何卒よろしくお願いいたします。

ポイント:

  • 「ご無沙汰しております」で柔らかい印象
  • 情報共有を口実に自然な接触
  • 相手に“営業された感”を与えない

テンプレ⑤ 失注後に半年経った顧客へのリターンフォロー(信頼再接続型)

目的: 再アプローチではなく、情報提供として印象を復活させる。

件名例:
【ご参考までに】〇〇の最新動向資料をお送りします(株式会社〇〇・△△)

本文例:

株式会社□□
営業部 〇〇様

いつもお世話になっております。株式会社〇〇の△△です。

以前ご提案させていただいた〇〇の件、その後のご活用状況はいかがでしょうか。

このたび、同分野での最新事例をまとめましたので、
ご参考までに資料を添付いたします。

特に、〇〇様の業界でも動きが活発になっており、
改めてお力になれるタイミングがあれば幸いです。

今後とも何卒よろしくお願いいたします。

ポイント:

  • 「情報共有」を主目的にすることで押しつけ感を消す
  • 顧客の状況を想定した“再接触のきっかけ”を作る

失注メール=誠実さを試される瞬間。
一通のメールで、「負けた営業」から「信頼される営業」へと変わるのです。

失注後フォローで信頼を積み上げる営業の心理戦略

失注フォローを「形式的な御礼メール」で終わらせてしまう営業が多いですが、
本当にできる営業は“フォローで勝つ”
ここでは、心理的に信頼を残すためのフォローテクニックと、
新人営業でもできる実践戦略を解説します。


① 「一貫性」を武器にするフォロー術

心理学でいう一貫性の原理とは、
人は「過去に言ったことや行動したこと」と矛盾しないように行動する傾向がある、というもの。

つまり、顧客が過去に「いい提案でした」「またお願いします」と言っていたなら、
その言葉をやんわりと返してあげるだけで再接触のきっかけが作れます。

例文:

「以前お話しさせていただいた際に、“今後の展開で検討したい”とおっしゃっていた件、
改めてサポートできる準備が整いましたのでご連絡いたしました。」

顧客は自分の言葉に“一貫した行動”を取りたくなるため、
無理なく再興味を持ってもらうことができます。


② 「返報性の法則」で“お礼を返したくなる”心理を作る

失注直後に誠実なフォローメールを送ると、
顧客の中に「この人には何か返したい」という心理(返報性)が生まれます。

そのため、失注時に“感謝と気遣い”をしっかり伝えることで、
顧客が自然にあなたを思い出すきっかけになります。

例文:

「今回はご縁がありませんでしたが、最後まで真摯にご対応いただきありがとうございました。
このご縁を大切に、またお役に立てる機会があれば嬉しく思います。」

ここでポイントなのは、「こちらがありがとう」と伝えること。
感謝を先に出すことで、相手の心に“印象の残る余韻”を残せます。


③ 「損失回避の心理」で再提案のチャンスを作る

人は“得をする”よりも“損を避けたい”という心理が強いといわれます。
これを損失回避の法則といい、フォローメールでも効果的に使えます。

例文:

「今回の導入は見送りとのこと、承知いたしました。
ただ、〇〇の件については早期に対応しないとコストが増える可能性がございます。
ご参考までに資料を添付いたします。」

強引に営業するのではなく、
「放置すると損をする可能性」を提示することで、顧客が再検討する余地を作れます。


④ 「再会の口実」を仕込む“記憶残しメール”

営業で最も重要なのは、“相手に思い出してもらうこと”。
失注フォローでは、「また接点を持つ理由」を1つ仕込んでおくと効果的です。

例文:

「来月、業界動向をまとめたレポートを作成予定です。
完成しましたら、また共有させていただきますね。」

このように軽く次の予定を匂わせることで、
顧客があなたを“まだ関係がある営業”として認識し続けます。


⑤ 「名前を覚えさせる」戦略で存在を残す

新人営業に特におすすめなのが、名前を記憶に刻むフォローです。
顧客があなたを覚えていれば、次のチャンスが来た時に自然に声がかかります。

やり方はシンプルで、メール署名に「覚えやすい自己紹介フレーズ」を添えること。

例:

―――――――――――
株式会社〇〇
営業部 △△ △△(“営業資料の△△”で覚えてください!)
TEL:000-0000-0000
―――――――――――

親しみを持たせる一言を入れるだけで、印象が数倍にアップします。
特にメール中心の営業では、名前の印象操作=営業の差別化になります。


⑥ 「負け方の美学」を持つ営業が最後に勝つ

失注フォローは、言ってしまえば“負け試合の後処理”。
でも、ここでの一通が次の試合を決めます。
なぜなら、顧客は「断った後の営業態度」で人間性を判断するからです。

誠実にフォローできる営業は、次にチャンスが来た時、真っ先に思い出されます。
「この人なら安心して頼める」という信頼が、未来の成約を引き寄せます。


失注フォローの極意は、“勝とうとせずに勝つ”こと。
「今回は残念でした」ではなく、「次回も味方でいます」という姿勢が、
営業として最も美しい負け方です。

失注フォローを「次の商談」につなげる実践アプローチ

失注フォローの目的は、単なる礼儀ではありません。
本質は、「次のチャンスの種をまくこと」です。
ここでは、新人営業が実際に“次の商談につなげるためのアクション”を
具体的なステップで紹介します。


ステップ① 失注理由を“冷静に”分析する

フォローを始める前に、まずやるべきは「負けた理由の整理」です。
感情ではなくデータで見直すことで、次の提案の精度が上がります。

失注理由カテゴリ内容改善ポイント
価格要因競合より高いコスト以外の価値提示を強化
タイミング要因予算時期・決裁タイミングが合わない時期を見越した再提案スケジュール
関係要因顧客との信頼不足定期接触・情報提供で再接続
提案要因内容・資料の質顧客視点の改善案を準備

失注理由を冷静に振り返ることが、再アプローチの最短ルートになります。


ステップ② 「情報提供型」のフォローで再接触を作る

再提案の前に、まずは“営業ではなく情報提供”の形で接点を持つのが鉄則です。
売り込みではなく、相手にメリットを感じてもらうコミュニケーションを意識します。

例文:

「先日ご提案の際に話題に上がった〇〇について、
最新の動向をまとめた資料がありましたので、共有させていただきます。」

→ 営業感が薄く、再会のきっかけを作りやすい。

この“営業ではないフォロー”を続けることで、
相手の頭の中であなたの存在が残り続けるのです。


ステップ③ 失注顧客の“リスト化とフォロー計画”を立てる

感情任せに動く営業ほど、失注後にチャンスを逃します。
フォローは仕組みで管理するのが成功の鍵です。

管理項目内容管理方法
顧客名・案件名どの案件で失注したかCRM・スプレッドシート管理
失注理由価格・タイミングなど具体的に記録
フォロー予定日次回接触の目安カレンダー連動
再提案ポイント改善案・強みメモ欄に残す

この仕組みを作ることで、
「失注=放置」から「失注=未来案件」に変わります。


ステップ④ 3か月後フォローで“関係の温度”を測る

失注直後のフォローは「誠実さを残す」ため、
その後の3か月後フォローは「再接点を探る」ために送ります。

例文:

「以前のご提案から少しお時間が経ちましたが、
業界全体の動向も変化しており、〇〇様にもお役立ていただけそうな情報がございます。
ご参考までに資料を共有させていただきます。」

3か月というのは、顧客が新しい課題に直面するタイミング。
この時期のフォローが、“再び選ばれるきっかけ”になります。


ステップ⑤ 再アプローチ時は「提案」ではなく「相談」

再度アプローチする時は、「提案させてください」ではなく
「ご相談させてください」の一言に変えましょう。
この一言で、相手の心理的なガードが大きく下がります。

悪い例:

「新しいプランをご提案させてください。」

良い例:

「以前のお話を踏まえて、今後の方向性について少しご相談させてください。」

“相談”という言葉は、相手を主導権側に立たせる表現。
営業されている感がなく、関係を自然に再開できます。


ステップ⑥ 「失注客の味方」でいることが再商談の鍵

営業で最も信頼されるのは、“結果に関係なく誠実な人”。
他社に決まったあとも、相手の成功を応援できる営業は、
次のタイミングで必ず声がかかります。

例文:

「他社様での導入がうまく進むことをお祈りしております。
もし運用中にお困りのことが出てきた際は、ぜひお気軽にご相談ください。」

このような“味方営業”の姿勢が、将来的な逆転成約の伏線になります。


ステップ⑦ 失注フォローは“半年〜1年スパン”で設計する

多くの新人営業がやってしまうのが、「失注したら終わり」という短期思考。
しかし、プロ営業は半年〜1年単位でフォロー計画を立てるのが普通です。

フェーズアクション目的
1週間以内感謝フォローメール信頼を残す
1か月後情報共有・業界ニュース存在を思い出させる
3か月後改善提案・再接触再検討を促す
半年後事例紹介・再提案再アプローチの本番

このように長期で設計することで、
“継続的に思い出される営業”になれます。


失注フォローは、単発のメールではなく「未来への投資」。
継続して関係を温める営業ほど、1年後に逆転成約を勝ち取るのです。

まとめ 失注フォローは「信頼を磨く時間」

失注とは、“負け”ではなく“関係が一度止まっただけ”の状態です。
新人営業がここで諦めるか、信頼を残して再びチャンスを掴むかで、営業としての未来は大きく変わります。


本記事のポイントまとめ

ポイント内容成果につながる理由
失注フォローの目的を理解する「信頼を残す」ことが最優先再接触のチャンスを作れる
状況別テンプレを活用する他社決定・予算見送りなど対応を変える一律対応を避け、印象を高める
心理戦略を使う返報性・一貫性・損失回避押さずに思い出される営業になる
タイミングと継続を設計1週間→3か月→半年の流れ計画的フォローで再商談を生む
「負け方の美学」を持つ敗北後も誠実でいる信頼が積み重なり、逆転成約につながる

営業の世界では、“失注のあとにどう動くか”が営業力の真価です。
フォローを恐れず、誠実さを積み重ねる営業こそが、長期的に顧客に選ばれ続けます。

「失注した営業」ではなく、「信頼を残した営業」。
その姿勢が、次の商談の扉を静かに開いていきます。


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