「セミナーのご案内でお電話しています。」
新人営業が最初に任される業務のひとつがセミナー集客の電話です。
しかし、いざ架電してみると「忙しい」「興味ない」「メールで送って」と言われ、
思うように話を聞いてもらえない——そんな悩みを抱えていませんか?
実は、セミナー集客の電話には“トーク構成の型”が存在します。
この型を理解すれば、初対面でも相手の関心を引き、
「ちょっと聞いてみようか」と思わせる会話ができるようになります。
本記事では、現場で使える「セミナー集客トークの構成・具体例・NG対応」を徹底解説。
新人でも成果を出せる、“断られにくい営業トーク”の作り方を紹介します。
セミナー集客電話の目的と新人営業が陥りやすい誤解
まず理解しておくべきは、「セミナー集客の電話=セールス電話」ではないということです。
多くの新人がこの違いを誤解したまま電話してしまい、結果として断られてしまいます。
1. セミナー集客電話の本当の目的
セミナー集客の電話の目的は、「興味を持ってもらうこと」です。
決して、「今すぐ申し込みを取ること」ではありません。
つまり、顧客にとっては
「知らなかった有益な情報を知るきっかけ」
であり、営業にとっては
「見込み顧客との最初の接点づくり」
なのです。
電話の段階では、「売る」のではなく「知ってもらう」。
ここを間違えると、すべてのトークが押し売りに聞こえます。
2. 新人営業がやりがちな3つの誤解
| 誤解 | 内容 | 結果 |
|---|---|---|
| 誤解① | セミナーを“売り込む” | 顧客が身構えて話を聞かない |
| 誤解② | トークを早口で詰め込む | 情報過多で印象が残らない |
| 誤解③ | 担当者にすぐつなごうとする | 拒否されて会話が終了する |
「相手の興味を引く」=「相手の時間を奪わない話し方」です。
短く・明確に・共感を交えて伝えることが信頼を生みます。
3. セミナー集客トークの理想像
成功する営業トークには、3つの条件があります。
| 条件 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| ① 簡潔 | 30秒以内に主旨を伝える | 長く説明しない |
| ② 共感 | 相手の課題を代弁する | 「そうそう」と思わせる |
| ③ 提案 | 聞く理由を与える | 「ちょっと話を聞いてもいいかも」と思わせる |
この3つを満たすだけで、セミナー電話の成功率は格段に上がります。
売り込むな、気づかせろ。
これが“断られない営業トーク”の第一歩です。
成約率を高めるセミナー集客電話トーク構成テンプレート
セミナー集客の電話には、相手の興味を引くための「トーク構成のひな形」があります。
この構成を身につければ、どんな相手でもスムーズに会話を展開できるようになります。
トーク構成5ステップ(基本型)
| ステップ | 内容 | 目的 |
|---|---|---|
| ① 導入 | 名乗りと目的の明確化 | 警戒を解く |
| ② 共感 | 顧客の課題を代弁する | 興味を引く |
| ③ 提案 | セミナー内容を簡潔に伝える | “聞く理由”を与える |
| ④ 誘導 | 参加メリットを伝える | 行動意欲を喚起する |
| ⑤ クロージング | 確認と次のステップ提示 | 参加を確定・検討に導く |
【ステップ①】導入:第一印象で“営業臭”を消す
電話の最初の10秒が勝負です。
名乗り方と目的の伝え方を間違えると、即断られます。
悪い例
「お世話になっております。株式会社〇〇の△△と申します。
このたび弊社で新製品セミナーを開催することになりまして…」
→ 典型的な営業トーク。相手は「また営業か」と思い、話を聞かない。
良い例
「突然のお電話失礼します。株式会社〇〇の△△と申します。
同業他社さま向けに“営業生産性アップ”の無料セミナーを企画しており、
ご案内を差し上げたくお電話しました。」
ポイント:
- “突然ですが”と断りを入れる
- 会社名より「内容の価値」を早く伝える
- 「同業他社さま向け」など共通点を出す
【ステップ②】共感:相手の現状を代弁する
相手の悩みを“こちらから言ってあげる”ことで、共感が生まれます。
顧客は「分かってくれてる」と感じる相手に心を開きます。
トーク例
「最近、営業活動の効率化や顧客管理にお困りの企業さまが多く、
『もっと成果を上げたいけど人が足りない』という声をよく伺います。」
ポイント:
- 課題は“一般論”で伝える(押しつけない)
- 「最近」「多くの企業が」など柔らかい共感ワードを使う
【ステップ③】提案:セミナーの“価値”を短く伝える
ここでは、セミナーの中身を1文で伝える力が重要です。
説明ではなく、“得られるもの”を話しましょう。
悪い例
「弊社のツールの活用方法を紹介するセミナーで…」
良い例
「営業の成果を1.5倍にした企業の“実践ノウハウ”を、現場マネージャーが直接お伝えします。」
ポイント:
- 内容ではなく「得られる結果」を話す
- 名詞よりも動詞を使う(例:「分かる」「できる」「学べる」)
【ステップ④】誘導:参加する理由を“自然に”作る
セミナーの案内で最も大事なのが、「行きたくなる理由づけ」です。
トーク例
「このセミナーは“営業未経験でも結果を出す方法”をテーマにしておりまして、
特に営業チームをまとめられている方に好評いただいております。」「1時間で実際の事例とデモをご覧いただける内容ですので、
貴社にもすぐ活かせるヒントがあると思います。」
ポイント:
- 「自分に関係ある」と思わせる
- “短時間”“実践的”“限定”などのキーワードを活用
【ステップ⑤】クロージング:押さずに自然に決める
最後は、“確認トーク”で終わらせるのがコツです。
強引に「参加しませんか?」と言うよりも、選択肢を与える形が自然です。
トーク例
「今週の水曜と金曜のどちらかで開催予定ですが、
ご都合の良い日程はございますか?」「もしご本人が難しければ、資料だけでもお送りしてもよろしいですか?」
ポイント:
- “選ばせる”と顧客が前向きに判断しやすい
- 「資料送付」など緩いクロージングで接点を残す
トーク構成まとめ表
| ステップ | キーアクション | 目的 | トークのコツ |
|---|---|---|---|
| ① 導入 | 挨拶と目的提示 | 警戒を解く | 「突然ですが」で始める |
| ② 共感 | 顧客の課題を代弁 | 興味を引く | 一般論で安心感を与える |
| ③ 提案 | 得られる結果を提示 | 聞く価値を作る | 動詞で訴求する |
| ④ 誘導 | 関係性・メリット提示 | 行動意欲を刺激 | 関連性を示す |
| ⑤ クロージング | 日程・資料確認 | 次の行動を促す | 選択肢で締める |
「売るトーク」ではなく「聞きたくなるトーク」を構築する。
それが、セミナー集客成功の黄金ルールです。
状況別・断られた時の切り返しトーク例
セミナー案内の電話では、ほとんどの場合最初に断られます。
大事なのは、「断られた=失敗」と思わないこと。
“断られた後の一言”が、再チャンスを生むかどうかを決めます。
ここでは、よくある断り文句に対して、新人営業でも自然に使える切り返し例を紹介します。
ケース①:「忙しいので結構です」
悪い対応例
「そうですよね…また改めます。」
→ 会話終了。再接点を失います。
良い対応例
「そうですよね、お忙しい中すみません。
実はこのセミナーも“忙しい方向けに1時間で要点だけ”をお伝えする内容でして、
ご負担のない形で情報収集いただけます。」
ポイント:
- 忙しさに共感し、“それでも大丈夫な理由”を添える
- 「短時間」や「効率的」といった言葉を使う
ケース②:「興味ないです」
良い対応例
「ありがとうございます。実は、最初はそう仰る方も多いのですが、
実際に“営業現場の課題”を共有される中で、思わぬヒントが見つかったと好評なんです。」
ポイント:
- 否定せず、“他社の事例”を交えて興味を引く
- 「他の方も最初は同じでした」トークは安心感を与える
ケース③:「上司に確認しないと分からない」
良い対応例
「ありがとうございます。では、ご上司様がご検討される際の参考に、
セミナーの概要資料だけお送りしてもよろしいでしょうか?
内容を確認していただいてからご判断いただけます。」
ポイント:
- “今”決めてもらおうとしない
- 「確認材料を渡す」=次の接点を残す
ケース④:「メールで送ってください」
良い対応例
「かしこまりました。
差し支えなければ、送付前に1点だけご確認させてください。
今回のセミナー、営業マネージャーの方向けと実務担当者向けの2種類がございます。
どちらをお送りするのがよろしいでしょうか?」
ポイント:
- “メール対応”で終わらせず、質問を挟んで会話を継続する
- 相手に「自分のための案内」と思わせる
ケース⑤:「他社で聞いたので結構です」
良い対応例
「そうなんですね。他社さまのセミナーもすでにご参加されているとは、
意識が高くて素晴らしいですね。
実は今回の内容は“その後の実践事例”に焦点を当てておりまして、
より現場目線で学べる構成になっています。」
ポイント:
- 他社を否定せず、“違い”をやんわり提示する
- 「比較ではなく補完」という言葉選びが信頼を生む
ケース⑥:「うちはそういうの必要ないので」
良い対応例
「承知しました。
実際に“今は必要ない”というお声もよく伺うのですが、
先日も同じ業種の企業様が、将来のために情報収集としてご参加されていました。
内容だけでもお送りしておきましょうか?」
ポイント:
- 否定を恐れず、“未来のため”という視点に変える
- 「情報収集」や「他社も参加している」という安心感を与える
ケース⑦:「営業電話はお断りしてます」
良い対応例
「ご不快にさせてしまったら申し訳ありません。
営業ではなく、“無料で業界データを共有する情報提供セミナー”になります。
貴社に関連する事例も含まれておりますが、資料だけお送りしますか?」
ポイント:
- まず謝罪し、“営業ではない目的”を伝える
- “情報提供”という表現で印象を和らげる
断り対応まとめ表
| 顧客の反応 | 切り返し方 | 目的 |
|---|---|---|
| 忙しい | 共感+時短メリット提示 | 会話継続 |
| 興味ない | 事例で再興味喚起 | 興味転換 |
| 上司確認 | 資料送付で接点維持 | 再提案機会確保 |
| メール希望 | 種別確認で会話継続 | 主導権維持 |
| 他社比較 | 補完価値を提示 | 差別化 |
| 必要ない | 未来視点+他社例 | 情報提供型提案 |
| 営業拒否 | 謝罪+情報提供強調 | 信頼維持 |
断られた時こそ、営業の本領が試される瞬間。
逃げずに“相手の立場”に立つ切り返しが、信頼と成果を生みます。
まとめ
セミナー集客の電話は、「断られて当たり前」の世界です。
しかし、その中で成果を出す営業は、“話す順番”と“一言の工夫”を徹底的に磨いています。
「売り込む」ではなく「価値を伝える」。
「お願いする」ではなく「きっかけを作る」。
この意識の違いが、結果の差を生みます。
本記事の要点まとめ
| カテゴリ | ポイント | 効果 |
|---|---|---|
| 電話の目的 | 売り込みではなく“関心づくり” | 警戒を解き、会話が続く |
| トーク構成 | ①導入→②共感→③提案→④誘導→⑤クロージング | 断られにくい会話の流れを作る |
| トークの要素 | 共感+簡潔+選択肢提示 | 信頼と主体性を与える |
| 断り対応 | 共感→理由づけ→再提案 | 再接点を確保 |
| 成功の鍵 | “相手の時間を奪わず、価値を渡す” | 集客率と印象が同時に上がる |
営業電話は、単に人を集める手段ではなく、「人との関係を築く第一歩」です。
短い通話の中でも、相手が「話してよかった」と思える一言を残せれば、
あなたはすでに“売れる営業”のスタートラインに立っています。
「売り込む電話」から「信頼を生む電話」へ。
セミナー集客を、営業力を磨く最高の実践舞台に変えていきましょう。

