営業職として配属されたばかりの新人が最初に戸惑うのが、「1日をどう過ごせばいいのか」という点です。
上司から「行動量を増やせ」と言われても、何を・どの順番で・どのくらいやれば良いのかがわからない……。
実は、営業で成果を出す人ほど“1日の設計”にこだわっています。
限られた時間をどう配分するかで、売上・成長・信頼のすべてが変わるのです。
この記事では、現役トップ営業が実践している「新人営業に最適な1日のスケジュール例」を紹介します。
オフィスワーク・訪問営業・オンライン営業などのパターン別に、時間の使い方とポイントを具体的に解説します。
今日から真似できる“勝てる1日の過ごし方”がわかります。
成果を出す新人営業の1日の基本構成
営業の仕事は「自由に動ける」と言われがちですが、実際には時間の使い方が9割です。
1日のスケジュールを正しく設計するだけで、商談数も成果も確実に変わります。
ここではまず、成果を出す新人営業が意識している1日の全体構成を紹介します。
営業1日の理想的な流れ(全体像)
| 時間帯 | 行動 | 目的 |
|---|---|---|
| 8:30〜9:00 | 出社・準備・情報収集 | 一日の目標を明確にする |
| 9:00〜10:30 | 新規アプローチ(電話・メール) | 朝の集中力を成果に変える |
| 10:30〜12:00 | 商談・訪問準備 | 相手に合わせた提案資料作成 |
| 12:00〜13:00 | 昼休憩 | 頭をリセットして午後に備える |
| 13:00〜16:00 | 商談・訪問活動(メイン時間) | 実績を積み上げる時間帯 |
| 16:00〜17:30 | フォロー連絡・報告書作成 | 顧客対応・上司報告を完了 |
| 17:30〜18:00 | 1日の振り返り・翌日準備 | 改善・成長サイクルを回す |
この構成をベースに、「午前=攻め」「午後=実行」「夕方=整理」のリズムを作るのが鉄則です。
成果を出す営業の時間管理3原則
- 午前中はアウトプット中心にする
→ 電話・メール・商談など、自分から動く仕事を優先。 - 午後は対面・オンラインで関係構築に集中
→ 顧客対応は午後にまとめ、移動時間も効率化。 - 夕方は必ず1日の記録を残す
→ その日の学びを整理しない営業は、翌日も同じミスを繰り返す。
時間配分を“意図的に”コントロールすることで、「動いてるのに成果が出ない」状態から抜け出せます。
新人営業のスケジュール例(オフィス勤務型)
営業といっても、外回りだけが仕事ではありません。
最近ではオンラインや内勤中心の営業スタイルも増えており、“社内で成果を出す営業”も珍しくありません。
ここでは、社内で働く新人営業(いわゆるインサイドセールス型)の1日スケジュール例を紹介します。
【1日の流れ(インサイドセールス型)】
| 時間帯 | 行動 | 内容・目的 |
|---|---|---|
| 8:30〜9:00 | 出社・メールチェック | 昨日の反応・問い合わせを確認 |
| 9:00〜9:30 | チームミーティング | 目標共有・架電件数の確認 |
| 9:30〜11:30 | 新規アプローチ(架電・DM) | 朝の集中力でアポイント取得を狙う |
| 11:30〜12:00 | 商談準備 | 顧客情報・提案資料を整理 |
| 12:00〜13:00 | 昼休憩 | エネルギーチャージの時間 |
| 13:00〜15:30 | オンライン商談・電話商談 | トークスクリプトを使いながら課題ヒアリング |
| 15:30〜16:30 | フォロー・資料送付 | 商談後のまとめと提案書メール |
| 16:30〜17:30 | CRM入力・上司報告 | 商談内容を記録して改善共有 |
| 17:30〜18:00 | 翌日準備 | 架電リスト更新・振り返り |
【ポイント①】午前の2時間が勝負
新人営業は午前中に「自分から動く仕事」を詰め込むのがコツです。
特に電話・メールなどのアプローチは、相手も集中している朝の時間が最も反応率が高い傾向にあります。
✅ 目安:午前中に20〜30件のアプローチを完了させる。
【ポイント②】商談後30分以内にフォローする
商談後のフォローが遅れると、相手の興味温度が下がります。
「商談終了→資料送付→御礼メール」を30分以内に終える習慣をつけましょう。
このスピード感が、信頼構築と成約率の両方を高めます。
【ポイント③】夕方の“振り返り時間”を確保する
1日の終わりには、必ず「行動ログ」を残しましょう。
振り返り項目例
- 架電件数・通話時間
- 商談数・結果・理由
- 明日優先すべき顧客リスト
「記録できる営業=再現できる営業」。
データを残すことが、継続的な成長の第一歩です。
新人営業のスケジュール例(訪問営業型)
ここでは、外回りをメインとするフィールドセールス型の新人営業のスケジュール例を紹介します。
現場で顧客と直接向き合うこのスタイルでは、「移動」「準備」「記録」の3要素を上手く組み込むことが成果のカギになります。
【1日の流れ(訪問営業型)】
| 時間帯 | 行動 | 内容・目的 |
|---|---|---|
| 8:00〜8:30 | 出社・資料確認 | 当日の訪問先・提案内容を最終チェック |
| 8:30〜9:00 | チームミーティング | 進捗共有・目標設定・ロールプレイ |
| 9:00〜11:30 | 午前訪問(2〜3件) | 近距離の顧客を中心にアプローチ |
| 11:30〜12:00 | 記録・移動 | 商談内容をスマホで簡易記録 |
| 12:00〜13:00 | 昼休憩 | 次の訪問先近くで休憩 |
| 13:00〜16:30 | 午後訪問(3〜4件) | アポ商談+飛び込み・フォロー活動 |
| 16:30〜17:00 | 帰社・CRM入力 | 当日の結果をシステムに入力 |
| 17:00〜17:30 | 上司報告・振り返り | 成果・課題・改善点を共有 |
| 17:30〜18:00 | 翌日の準備 | 資料印刷・ルート設定・目標確認 |
【ポイント①】午前は「新規」、午後は「関係構築」
訪問営業では、午前中=新規開拓、午後=フォロー・提案深化に分けるのが鉄則です。
午前はアポイント優先で行動量を稼ぎ、午後にリレーションを強化する動きを組むと効果的です。
理由
- 午前は相手が業務前で時間を取りやすい
- 午後は顧客も落ち着いて話ができる
- 効率的に訪問ルートを組みやすい
時間ではなく「目的」で動きを分ける」のがポイントです。
【ポイント②】訪問ごとに“即メモ”を残す
訪問営業では、1件ごとの情報をすぐに記録することが重要です。
「帰社してからまとめよう」は、ほぼ確実に忘れます。
記録すべき項目
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 訪問目的 | 新製品の提案/導入見積り確認 |
| 顧客反応 | 興味あり・要比較・導入時期未定 |
| 次回行動 | 2週間後に再訪/担当変更予定あり |
この3行だけでOK。
メモを残せる営業は、再訪率・成約率が高いです。
【ポイント③】移動時間を“成長時間”に変える
訪問営業の特徴は「移動時間が多い」こと。
この時間を活かすかどうかで、1日の密度が大きく変わります。
活用例
- 音声入力でメモをまとめる
- 顧客業界ニュースを音声でチェック
- トーク録音を聞き返して改善点を探す
移動を“学びの時間”に変える営業は、成長スピードが2倍違います。
【ポイント④】帰社後30分の“反省タイム”が成長を決める
1日の訪問を終えた後は、行動量よりも“質の反省”が重要です。
振り返り質問
- 今日の商談で相手が一番興味を示した瞬間は?
- うまくいかなかった理由はどこにあった?
- 明日の改善点は?
この3つを毎日ノートに書くだけで、1か月後に成長を実感できます。
「営業力は商談中ではなく、商談後に磨かれる。」
この習慣を持つ新人ほど、半年後に確実に数字が伸びます。
新人営業のスケジュール例(オンライン営業型)
コロナ以降、営業の現場ではオンライン商談が主流になりつつあります。
訪問より移動時間が少ない分、「準備」「記録」「フォロー」の精度が勝負になります。
ここでは、ZoomやTeamsなどを活用するオンライン営業の1日スケジュール例を紹介します。
【1日の流れ(オンライン営業型)】
| 時間帯 | 行動 | 内容・目的 |
|---|---|---|
| 8:30〜9:00 | 出社・メール確認・資料整備 | 商談予定と資料を最終チェック |
| 9:00〜9:30 | 朝ミーティング | チーム進捗共有・個人目標設定 |
| 9:30〜10:30 | 新規架電・アポ取得 | オンライン商談の予定を組む |
| 10:30〜12:00 | 商談①(新規) | 初回面談・課題ヒアリング中心 |
| 12:00〜13:00 | 昼休憩 | 体と頭をリフレッシュ |
| 13:00〜15:00 | 商談②③(提案) | 解決策提示+クロージング練習 |
| 15:00〜16:00 | フォロー連絡・資料送付 | 商談後の提案書や要約メールを送る |
| 16:00〜17:00 | 商談④(フォロー) | 継続顧客への進捗確認 |
| 17:00〜17:30 | CRM入力・社内報告 | 商談ログを整理し、チーム共有 |
| 17:30〜18:00 | 明日の準備・再連絡 | 翌日の商談資料・確認連絡を完了 |
【ポイント①】オンライン商談は「1日3〜4件」が目安
オンライン商談は移動時間がない分、詰め込みすぎてしまいがちです。
しかし、商談の後に必ずフォロー作業が発生するため、現実的な上限は1日3〜4件です。
商談ごとの内訳目安
| 商談タイプ | 内容 | 所要時間 |
|---|---|---|
| 新規ヒアリング | 課題把握・情報共有 | 45〜60分 |
| 提案商談 | 提案書説明・質疑応答 | 60分 |
| フォロー商談 | 契約確認・進捗報告 | 30〜45分 |
商談を詰め込みすぎると、準備とフォローの質が落ちる=成約率が下がるので注意しましょう。
【ポイント②】オンラインでも「身だしなみ」は印象を左右する
画面越しでも営業は営業です。
オンラインでは「声のトーン」「姿勢」「表情」がより重要になります。
好印象を与える基本チェック
| 項目 | 意識するポイント |
|---|---|
| 背景 | 整理整頓された空間(バーチャル可) |
| 照明 | 顔が明るく見えるライトを使用 |
| 服装 | オンラインでもスーツ・ジャケット推奨 |
| 声 | 少しゆっくり・はっきり発声 |
| カメラ目線 | 画面ではなくレンズを見る |
「オンライン=気を抜いていい」ではない。
画面の向こうにいる相手に誠実さを届けることが営業の第一歩です。
【ポイント③】提案書とフォロー資料で差をつける
オンライン商談では、対面以上に資料の説得力が成否を分けます。
そのため、提案資料は「読む資料」ではなく「伝わる資料」を意識します。
提案書のコツ
- 文字は最小限、キーワード+図解を中心に
- 相手の業界・課題を1枚目に入れる
- 最後に「次回の行動(アポ・見積・導入)」を明記
また、商談後のフォロー資料も重要です。
例:
「本日の内容を簡単にまとめました。
次回のご提案内容もあわせて添付しております。」
早く・簡潔に・誠実に伝えることが、オンライン営業の信頼構築のコツです。
【ポイント④】1日の終わりに「数字×感情」を記録する
オンライン営業は移動がない分、1日が“流れて終わる”リスクがあります。
そのため、日報やCRMには数字だけでなく「感情の記録」も残しておきましょう。
記録例
| 項目 | 記入内容 |
|---|---|
| 今日の商談数 | 3件(提案2件、フォロー1件) |
| 成約見込み | B社:高、C社:中、D社:低 |
| 学び | 相手の意思決定者を確認する質問が効果的だった |
| 感情メモ | 午後の商談で緊張したが、次回に活かせそう |
“気づき”の積み重ねが営業力の進化を生む。
感情を言語化する営業ほど、改善スピードが早いのです。
成果を出す新人営業の時間管理術と習慣化のコツ
スケジュールを立てるだけでは成果は上がりません。
重要なのは、「時間の使い方を習慣化する」こと。
ここでは、トップ営業が実践している時間管理の考え方と、続けるためのコツを紹介します。
1. 「優先順位は売上に直結するか」で決める
新人営業が陥りがちなのが、“忙しいのに成果が出ない”状態。
その原因は、優先順位の判断軸が曖昧だからです。
優先順位の基準
| 優先度 | 内容 | 判断軸 |
|---|---|---|
| A(最優先) | 顧客接点・商談・提案 | 売上に直結する行動 |
| B(次点) | 資料作成・CRM入力 | 売上を支える行動 |
| C(低優先) | 社内雑務・整理作業 | 他人に任せられる行動 |
朝一番でAタスクを終わらせるだけで、1日の成果効率は2倍になります。
2. 「1時間=1テーマ」で集中する
営業の仕事は、電話・商談・資料作成・移動と多岐にわたります。
そのため、「ながら仕事」をすると効率が著しく落ちます。
“1時間1テーマ”を原則にすると、驚くほど集中力が高まります。
例:
- 9:00〜10:00 → 架電のみ
- 10:00〜11:00 → 資料作成のみ
- 13:00〜14:00 → 商談準備のみ
タスクを時間で区切ると、「仕事の切り替え力」が身につきます。
3. 「前日15分」で翌日の成功を作る
トップ営業の共通点は、“翌日のシミュレーションをしてから帰る”ことです。
翌日準備の3チェック
- 商談スケジュールと目的を確認
- 提案資料・見積り・データを整理
- アポの移動ルート・交通手段を確認
この15分の準備が、翌日のミスと焦りをゼロにします。
「準備=成功率を上げる唯一の投資」です。
4. 「可視化」でモチベーションを維持する
成果が見えないとモチベーションは続きません。
そのため、行動量を可視化することが重要です。
日次チェック表(例)
| 指標 | 今日 | 目標 | 達成率 |
|---|---|---|---|
| 架電件数 | 25 | 30 | 83% |
| 商談数 | 3 | 3 | 100% |
| フォロー連絡 | 2 | 3 | 67% |
| 次回アポ設定 | 1 | 2 | 50% |
「できた・できなかった」を数字で見える化するだけで、改善ポイントが明確になります。
“やる気”より“見える仕組み”が継続を生む。
5. 習慣化の鍵は「朝の30分」と「夜の10分」
営業のパフォーマンスは、朝と夜で決まります。
特に新人のうちは、この時間の使い方をルーティン化することが大切です。
理想の時間習慣
| 時間帯 | 行動 | 効果 |
|---|---|---|
| 朝の30分 | 目標確認・今日の段取り | 集中力アップ&迷い防止 |
| 夜の10分 | 振り返り・改善メモ | 成長実感&次日行動明確化 |
朝は「今日の勝ち筋を決める時間」、夜は「成長を確認する時間」。
この2つを習慣化できる新人は、1年後に圧倒的な差をつけます。
6. 「時間を作る営業」は「信頼を作る営業」
結局、営業の時間管理は「顧客との信頼管理」に直結します。
連絡が早い営業、レスポンスが丁寧な営業は、それだけで評価されます。
時間を守る=相手を大切にすること。
予定の精度が、営業としての信用を決めます。
つまり、スケジュール管理とは単なる業務効率化ではなく、
「信頼を積み上げる行動マネジメント」なのです。
まとめ
新人営業が成果を出すために最も大切なのは、「時間の使い方を設計する力」です。
営業は1日の積み重ねで結果が変わる職種だからこそ、スケジュール=営業力と言っても過言ではありません。
本記事で紹介した内容を整理すると、次の通りです。
| カテゴリ | ポイント | 成果につながる理由 |
|---|---|---|
| 基本構成 | 午前=攻め、午後=実行、夕方=整理 | 時間にメリハリができる |
| オフィス営業 | 架電・フォロー・記録を徹底 | 生産性の高い動きが可能 |
| 訪問営業 | 移動を“成長時間”に変える | 現場経験の質が上がる |
| オンライン営業 | 準備とフォローの精度を上げる | 成約率アップ |
| 習慣化 | 朝の30分・夜の10分でリズムを作る | 継続的な成果につながる |
営業の1日は、ただ過ごすだけでは意味がありません。
「なぜこの時間にこの行動をするのか」を意識することで、同じ8時間が“結果を生む時間”に変わります。
そして、時間を制する者が、営業を制する。
今日からあなたも、自分の1日を“設計図”のように扱い、行動の精度を上げていきましょう。
それが、最速で信頼と成果を掴む新人営業の第一歩です。

