新人営業が最速で成果を出すFABE法の使い方と実践例文

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新人営業が最初につまずくポイントは「商品の良さを伝えているのに、お客様が興味を示してくれない」という壁です。これは、商品の説明に終始してしまい、「相手の価値観に沿った伝え方」ができていないことが原因です。
そこで登場するのが、営業界で定番の「FABE法」です。これは、Feature(特徴)・Advantage(利点)・Benefit(利益)・Evidence(根拠)の4要素で構成される、営業トークの型。特に新人営業にとって、話の流れを整理し、商談の説得力を一気に高める強力なフレームワークです。

この記事では、FABE法の基本構造から、実際の会話での使い方、具体的な例文までをわかりやすく解説します。机上の理論ではなく、今日の訪問から使える実践レベルのトークを重視しています。

営業初心者でも「この順番で話せば自然と相手が納得する」という再現性の高い内容です。あなたの営業スキルを“説明型”から“共感・納得型”へ変えるヒントを得てください。

目次

FABE法とは何かをわかりやすく解説

まずは基本から押さえましょう。FABE法とは、営業やプレゼンで商品の魅力を論理的かつ感情的に伝えるための話法です。
4つの要素を順番に整理すると、以下のようになります。

要素英語表記意味説明ポイント
FFeature特徴商品やサービスそのものの仕様や特性
AAdvantage利点競合や従来品と比べた際の優位性
BBenefit利益顧客にとっての具体的なメリット
EEvidence根拠実績やデータなど信頼性を支える事実

たとえば「このペンはインクが長持ちします(Feature)」だけでは、単なる情報の羅列で終わってしまいます。そこに「他社製品の2倍長持ちするので、替え芯を買う手間が減ります(Advantage・Benefit)」と続け、さらに「実際に大手企業でも採用されています(Evidence)」と裏づけを加えると、聞き手の納得感が一気に高まります。

つまりFABE法とは、「商品の説明」から「顧客の納得」へと導くための道筋なのです。

FABE法が新人営業に最適な理由

新人営業ほど、商品のスペック説明に終わりがちです。なぜなら、「何を言えばいいかわからない」からです。FABE法を使えば、話す順序と流れが明確になり、会話の組み立てに迷いがなくなります。
さらにこの法則の良い点は、相手がどんなタイプの顧客でも柔軟に対応できること。理屈重視の人にはEvidenceを強調し、感情重視の人にはBenefitを前面に出すなど、相手に合わせてアレンジが可能です。

新人のうちにFABE法を使いこなせるようになると、ただの説明営業から一歩抜け出し、「聞き上手で提案上手な営業」へと進化できます。

FABE法を使った新人営業の会話例

理論を理解したら、次は実践です。ここでは、新人営業が実際の商談でFABE法を使う場面を例文で紹介します。
テーマは「法人向け営業でコピー機を提案するシーン」です。


会話例① コピー機の提案トーク(基本パターン)

営業「こちらの新型コピー機は、1分間に60枚の高速印刷が可能です。」
(→ Feature:商品の特徴)

営業「従来モデルに比べて約1.5倍のスピードなので、待ち時間が大幅に減ります。」
(→ Advantage:他社・旧モデルとの比較)

営業「業務効率が上がることで、1日あたり10分以上の時間短縮が可能です。結果的に残業削減にもつながります。」
(→ Benefit:顧客が得られる利益)

営業「実際にA社やB社でも導入いただいており、生産性が平均12%向上しています。」
(→ Evidence:信頼性の裏づけ)


このように、FABE法では“順序”が最重要です。いきなり「この商品すごいですよ!」とBenefitだけを伝えても、聞き手は「根拠は?」と疑念を持ちます。逆に、特徴説明(Feature)ばかりだと退屈されてしまいます。
FABE法を正しく使えば、話の筋道が自然に顧客の納得を生み出す構造になります。


会話例② サービス業での応用(クラウドツールの提案)

営業「当社のクラウド管理ツールは、スマホからでも案件の進捗をリアルタイムで確認できます。」
(Feature)

営業「従来のエクセル管理では、更新作業に手間がかかっていましたが、クラウド化で自動反映されます。」
(Advantage)

営業「結果として、営業活動のムダな報告時間を削減でき、顧客対応に集中できます。」
(Benefit)

営業「実際に導入した企業では、営業効率が平均で20%以上改善しています。」
(Evidence)


このように、FABE法はモノ売りでもサービス提案でも使える汎用トーク構造です。
重要なのは、相手が「自分にどんな得があるか」を明確にイメージできるように話すこと。これができると、どんな商品でも説得力をもって伝えられます。

新人営業がFABE法を使うときに意識すべきポイント

FABE法を理解しても、「うまく使いこなせない」と感じる新人営業は多いです。
その原因は、「要素の順番」や「深掘りの仕方」にあります。
ここでは、FABE法を実際に活かすためのコツを具体的に整理します。


① Featureは“簡潔”に伝える

新人営業が最もやりがちなミスが、「特徴を細かく説明しすぎる」ことです。
Featureはあくまで“話の入口”に過ぎません。
顧客が理解できる程度に簡潔に述べ、深堀りはAdvantageやBenefitで行うことが大切です。

例:

  • ❌「CPUは第13世代Core i9で、クロック数が〜」
  • ⭕「最新CPU搭載で、従来よりも処理が速くなりました」

専門用語を避け、顧客の理解レベルに合わせて表現しましょう。


② Advantageは“比較”を意識する

Advantageは“比較の中での強み”を伝える部分です。
ここが抜けると、顧客には「それって他社も同じでは?」と疑問を持たれてしまいます。

比較の対象は以下の3パターンがあります。

比較対象ポイント
自社の旧モデル「前モデルより30%軽量化」継続ユーザーに効果的
他社製品「同価格帯では唯一の自動化機能」競合との差別化に有効
顧客の現状「今の手作業を自動化できます」現状の不満を刺激できる

Advantageを語ることで、顧客は「自分の今の状態と比べて良さそう」と具体的にイメージできます。


③ Benefitは“感情”を動かす

FABE法の核はここです。
Benefit(利益)は単なる「機能の利便性」ではなく、「お客様の気持ちが前向きになる未来」を描くこと。
たとえば、「このツールを使えば残業が減ります」よりも、「このツールで早く帰って家族との時間が増えます」と伝える方が、圧倒的に刺さります。

Benefitは「数字×感情」で語ると強いです。

弱い言い方強い言い方
経費が減ります月2万円の経費が減り、年間で24万円の削減になります
作業が早くなります1日30分時短できるので、他の顧客訪問に回せます

営業は理屈ではなく「納得」と「共感」で動きます。Benefitを感情に寄せることを意識しましょう。


④ Evidenceは“信頼の締め”として使う

Evidenceは「信頼の最後の一押し」です。
どんなに良い話でも、根拠がなければ説得力がありません。
ここでは事実・データ・実績を提示しましょう。

効果的なEvidenceの例

  • 実績:「導入企業が300社を突破」
  • データ:「利用者の満足度92%」
  • 口コミ:「同業他社の導入事例を紹介」

注意点として、Evidenceを話の最初に持ってくると「押し売り感」が出ます。
あくまで最後の補強として使うのがコツです。


以上がFABE法を効果的に使うための実践ポイントです。
次のセクションでは、FABE法を「商談の流れ」に落とし込む方法を具体的に見ていきます。

商談の流れにFABE法を組み込む実践ステップ

FABE法を「理解しているけど、現場でどう使うかわからない」という新人営業は少なくありません。
そこでここでは、実際の商談の流れにFABE法を自然に組み込む方法を5つのステップで整理します。


ステップ① ヒアリングで“顧客の課題”を掴む

FABE法はトークの型ですが、最初に必要なのは顧客理解です。
いきなりFeatureを話しても、顧客の興味に合っていなければ無意味。
まずは次のような質問で課題を探ります。

例:

  • 「今、どんな点にご不便を感じていますか?」
  • 「理想的にはどんな状態になりたいですか?」

この段階で顧客が「どんなBenefitを求めているのか」を把握しておくと、FABEの後半(Benefit・Evidence)で刺さるトークができます。


ステップ② FeatureとAdvantageで“興味”を引く

ヒアリングで課題が見えたら、Feature(特徴)→Advantage(利点)の順で短く紹介します。
このときポイントは、「相手が言っていた悩みと関連づける」こと。

例:

  • 「先ほど“データ整理が面倒”とおっしゃっていましたが、このツールは自動で分類してくれます(Feature)。」
  • 「つまり、これまで1時間かかっていた作業が10分で終わります(Advantage)。」

顧客が「自分の話を聞いてくれた」と感じるだけで、信頼感が一気に高まります。


ステップ③ Benefitで“未来”を描かせる

ここが商談の勝負どころです。
Benefitでは、顧客が得られる未来像をリアルに描写することが大切です。

例:

  • 「この仕組みを導入すれば、データ整理の時間が減り、営業活動に専念できるようになります。」
  • 「結果的に、チーム全体の訪問件数が増え、売上アップにつながります。」

ここで感情に訴えると、「この人は自分の成功を考えてくれている」と感じてもらえます。


ステップ④ Evidenceで“納得”を固める

Benefitで気持ちが動いた状態で、Evidenceを出して信頼を補強します。

例:

  • 「実際に同業のC社でも導入いただき、成約率が20%上がりました。」
  • 「また、導入企業のアンケートでは満足度93%という結果が出ています。」

Evidenceはあくまで“安心材料”として、必要な分だけ伝えましょう。


ステップ⑤ クロージングは“共感ベース”で行う

FABE法を使った後のクロージングでは、「購入してください」ではなく、共感ベースの言葉が効果的です。

例:

  • 「〇〇様の課題を解決できると思うのですが、実際に体験してみたいと思われますか?」
  • 「同じような課題を抱えていたお客様も、導入後に大きく改善されています。」

FABE法で納得を生んだあとに、共感と信頼をベースに自然なクロージングへ移るのが理想的です。


商談ステップまとめ

ステップ内容FABE要素目的
ヒアリング顧客課題の把握
特徴と利点を紹介F・A興味喚起
利益を提示B感情を動かす
根拠を提示E信頼構築
クロージング全体成約へ導く

この流れを体に覚え込ませれば、商談が驚くほどスムーズになります。
「話す順序」と「相手の感情の流れ」が一致することこそ、FABE法の真髄です。

FABE法をさらに磨く応用テクニックとトレーニング法

FABE法は“話の構成”として非常に強力ですが、習得するためには実践と振り返りが不可欠です。
ここでは、FABE法をさらにレベルアップさせるための具体的な応用テクニックと、日々のトレーニング法を紹介します。


応用テク① 「FABE+質問」で相手の共感を引き出す

FABE法は一方的に話すと“説明トーク”になってしまうことがあります。
これを防ぐには、要素の間に質問を挟むのが効果的です。

例:

  • 「このシステムはスマホからでも操作できます(Feature)。普段外出時に操作されることは多いですか?」
  • 「多いです」
  • 「でしたら、この機能が特に役立ちます(Advantage)。」

このように、質問→共感→FABEの流れを組み合わせることで、会話が双方向になり、信頼関係が深まります。


応用テク② 「Evidence」では“ストーリー型”を意識する

Evidenceは単なる数字や実績だけでなく、「成功事例を物語風に伝える」とより印象に残ります。

例:

「ある飲食店のオーナー様も、最初はコストを気にされていました。
ですが導入後、週に3時間の業務削減が実現し、その時間を新メニュー開発に使えたことで、売上が120%に伸びたんです。」

数字+エピソードで語ることで、“信頼+感情の共感”を同時に得られます。


応用テク③ 顧客タイプ別のFABE構成を使い分ける

顧客にはタイプがあります。FABE法のどの要素を強調するかで、説得力が変わります。

顧客タイプ特徴強調すべき要素トークのポイント
論理タイプ数字・根拠を重視Feature / Evidenceデータで裏づけを示す
感情タイプ人柄・安心感を重視Benefitストーリーで伝える
比較タイプ他社との違いを重視Advantage優位性を明確に伝える
行動タイプ即決傾向があるBenefit / Advantage行動後の成果を強調する

顧客タイプを見極めてFABE法をカスタマイズできるようになると、成約率は確実に上がります。


トレーニング法① FABEトークを“1分でまとめる”

FABE法は長々と話すよりも、短時間で的確に伝える練習が効果的です。
以下の流れで、1分以内にまとめるトレーニングをしてみましょう。

  1. 自社商品の特徴を1つ選ぶ
  2. そのFeature→Advantage→Benefit→Evidenceの順で30〜60秒話す
  3. 録音して聞き返し、テンポと説得力をチェック

短く伝えられるほど、顧客の理解度も上がります。


トレーニング法② 同僚との“FABEロープレ”を行う

FABE法は「口に出して」練習しないと身につきません。
同僚や先輩とロールプレイ形式で練習しましょう。

例:

  • 先輩:「あなたが提案する商品は?」
  • 新人:「法人向けWeb会議システムです」
  • 先輩:「FABE法で1分プレゼンしてみて」
  • 新人:「このシステムは〜(Feature)…」

最初はぎこちなくても、繰り返すうちに自然とFABEの順序が口から出るようになります。
“頭で覚えるより、口で覚える”のが上達の近道です。


トレーニング法③ 商談後の“FABE振り返りシート”を使う

毎回の商談後に、以下のようなシートで自分の話を振り返ると、成長スピードが一気に上がります。

項目内容自己評価(◎○△)
Featureを明確に伝えたか具体的な特徴を言えたか
Advantageで差別化したか比較要素を盛り込めたか
Benefitを感情に結びつけたか顧客の共感を得られたか
Evidenceで信頼を補強したか実績や事例を提示できたか

自分のトークを客観的に分析し、「どの要素が弱かったか」を可視化することで、FABEの精度がどんどん上がります。


FABE法は、ただ話すための型ではありません。
それは、顧客の“納得”を構築するための思考の型です。
使い込むほどに、自分の営業スタイルに馴染み、どんな商談にも応用できる“武器”へと進化していきます。

まとめ 新人営業がFABE法を使いこなすために

FABE法は、単なる営業トークのテンプレートではなく、顧客が「納得」するための思考整理ツールです。
新人営業ほど「何をどう話せばいいか」で迷いますが、FABE法の順序を意識するだけで、会話の構造が自然に整い、伝わり方が劇的に変わります。


記事の要点を振り返りましょう

要点内容
FABE法の基本Feature(特徴)→Advantage(利点)→Benefit(利益)→Evidence(根拠)の順で伝える
新人営業に最適な理由話の流れが明確になり、説得力のある提案ができる
商談への組み込み方ヒアリングからクロージングまでの流れにFABEを自然に挿入する
応用テクニック質問の挟み方、顧客タイプ別の構成、ストーリー型Evidenceが有効
トレーニング法1分FABEトーク、ロールプレイ、振り返りシートで実践力を磨く

新人営業が最初に覚えるべきは「話す内容」ではなく、話の“流れ”です。
FABE法は、その流れを誰でも再現できる最強の型。
この順序を自然に使いこなせるようになれば、あなたの提案は“説明”から“共感と納得”へと進化します。

自信をもって話せる営業トークの基礎として、ぜひFABE法を日々の商談で磨き上げてください。

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