リース営業は、単に商品を売る営業とは違い、顧客の経営や資金繰りに深く入り込む提案力が求められる仕事です。設備投資をどう最適化するか、キャッシュフローをどう守るか、その意思決定の場に立ち会えるのがリース営業の醍醐味でもあります。
本記事では、これからリース営業に挑戦する方や、成果が伸び悩んでいる新人営業の方向けに、リース営業の基本構造、求められるスキル、成果を出すための考え方を、営業オタク目線で噛み砕いて解説していきます。
読み進めることで、「なぜリース営業は提案が通るのか」「どこで差がつくのか」が腹落ちするはずです。
リース営業とは何かを営業オタク目線で分解する
リース営業を一言で説明すると、「モノを売らずに、使う権利とお金の流れを設計する営業」です。
ここを理解できるかどうかで、成績の伸び方がまったく変わります。
リース営業は物販営業と何が違うのか
物販営業は、基本的に「この商品はいくらです」「今なら安いです」という価格と機能の勝負になりがちです。
一方でリース営業は、以下のような視点で話が進みます。
- 今この設備は本当に必要か
- 購入とリースでは資金繰りにどう影響するか
- 経費処理や会計上の扱いはどう変わるか
- 将来の入れ替えや撤退はしやすいか
つまり、リース営業は経営の選択肢を提示する営業です。
だからこそ、決裁者との距離が近くなりやすく、話が長く、細かく、そして早口になります。オタクっぽくなるのも無理はありません。
なぜリース営業は「話が長い」のか
リース営業が長くなる理由はシンプルで、説明しないといけない前提条件が多いからです。
- リース期間
- 金利や料率
- 契約満了時の扱い
- 中途解約の可否
- 保守や保険の範囲
これらを省略すると、後で必ずトラブルになります。
だから優秀なリース営業ほど、最初に全部話します。結果として「早口で情報量が多い営業」になり、でもなぜか説得力が高い状態になるわけです。
リース営業が扱う代表的な商材
リース営業の商材は幅広く、業界理解も欠かせません。
| 分野 | 具体例 |
|---|---|
| IT | パソコン、サーバー、複合機 |
| 製造業 | 工作機械、検査装置 |
| 医療 | 医療機器、検査機器 |
| 店舗 | 厨房機器、内装設備 |
| 物流 | フォークリフト、車両 |
ここで重要なのは、モノ自体の知識より「使われ方」を理解することです。
使われ方が分かれば、「なぜ買わずにリースなのか」を自然に説明できるようになります。
新人が最初につまずくポイント
新人リース営業がつまずきやすいのは、次の三つです。
- リース料の仕組みが腹落ちしていない
- 会計や税務の話を避けてしまう
- 商談で話を短くまとめようとしすぎる
特に三つ目は要注意です。
リース営業では、丁寧に話すことはサボりではなく価値提供です。
ここを勘違いすると、「感じはいいけど決まらない営業」になってしまいます。
リース営業で成果を出す人が必ず押さえている基本構造
ここから一段ギアを上げます。
リース営業で安定して成果を出している人は、トークが上手いわけでも、性格が明るいわけでもありません。構造を理解しているだけです。
この構造を知らずに頑張ると、努力が全部空回りします。
リース営業の成果は三つの要素で決まる
リース営業の成果は、次の三つの掛け算です。
- 顧客理解
- 資金設計力
- 信用の積み上げ
どれか一つでも欠けると、契約にはなりません。
顧客理解とは何を理解するのか
顧客理解というと、「業界を知る」「商材を知る」と思われがちですが、それは入口にすぎません。
本当に重要なのは、お金の使い方の癖を理解することです。
- 設備投資に慎重か
- 現金を残したがるか
- 月額固定費を嫌うか
- 決算対策を重視するか
ここが分かると、同じリース提案でも刺さる言い方が変わります。
資金設計力が営業力の正体
リース営業における提案とは、見積書ではありません。
キャッシュフローの設計図です。
例えば同じ設備でも、
- 一括購入
- 借入
- リース
では、手元資金、月次支出、税務処理がすべて変わります。
これを図で説明できる営業は、決裁者から一気に信頼されます。
| 項目 | 購入 | リース |
|---|---|---|
| 初期費用 | 高い | 抑えられる |
| 月額負担 | なし | 一定 |
| 経費処理 | 減価償却 | 全額経費 |
| 入れ替え | 手間がかかる | 比較的容易 |
この表を自分の言葉で説明できるかどうかが、営業としての分かれ目です。
信用は契約の前に決まっている
リース営業では、「検討します」で終わる商談が多発します。
この原因の多くは、条件ではなく信用不足です。
信用は次の行動で積み上がります。
- デメリットも先に話す
- 他社案も否定しない
- 即答できない点は持ち帰る
- 数字をごまかさない
特に重要なのは、不利な話を先にする勇気です。
これができる営業は、「この人は信用できる」と無意識に判断されます。
成果が出ない営業が陥る典型パターン
成果が出ない営業には、共通点があります。
- 商材説明が長く、経営視点がない
- リース料の安さだけで勝負する
- 決裁者ではなく担当者止まり
リース営業は、価格勝負に持ち込んだ瞬間に負けです。
なぜなら、価格だけなら必ず安い会社が存在するからです。
リース営業に必要なスキルを現場目線で徹底解剖する
ここは営業オタクが一番語りたくなるゾーンです。
リース営業に必要なスキルは多そうに見えますが、実は方向性はかなりシンプルです。
ポイントを外さず鍛えれば、営業経験が浅くても十分に戦えます。
ヒアリング力は質問の量ではなく深さで決まる
リース営業のヒアリングでありがちな失敗が、「質問をたくさんした=ヒアリングした気になる」状態です。
重要なのは数ではなく、一段深く踏み込めているかです。
例えばこんな違いがあります。
- 表面的な質問
設備はいつ導入予定ですか - 一段深い質問
その時期に導入しないと、どんなリスクがありますか
この一段深い質問ができるかどうかで、
「ただの見積営業」か「相談相手」かが分かれます。
数字への耐性があるかどうかで信用が決まる
リース営業では、数字から逃げると即バレます。
特に次の数字は避けて通れません。
- 月額リース料
- 総支払額
- 金利や料率
- 契約期間
ここで重要なのは、完璧に暗算できることではありません。
「なぜこの数字になるのか」を言葉で説明できることです。
決裁者は、数字そのものよりも
この営業は数字をごまかさないかを見ています。
会計と税務はざっくり理解で十分
新人営業が身構えがちなポイントが、会計と税務です。
結論から言うと、専門家レベルの知識は不要です。
最低限、以下が説明できれば問題ありません。
- 減価償却とは何か
- 経費処理になると何が嬉しいのか
- 決算にどう影響するのか
細かい税率や例外は、税理士に任せればいいのです。
大切なのは、「だからリースという選択肢がある」という流れを作れるかです。
商談で話す順番が成果を左右する
リース営業では、話す順番を間違えると一気に失速します。
おすすめの順番は以下です。
- 課題の整理
- 購入した場合のリスク
- リースという選択肢
- 条件や金額の話
いきなりリース料の話をすると、
顧客は「また営業か」と身構えます。
課題から入ることで、提案が自然な流れになります。
トークが上手くなくても勝てる理由
ここで朗報です。
リース営業は、トークが達者である必要はありません。
むしろ成果を出している人ほど、
- 話すスピードは落ち着いている
- 余計な煽りをしない
- 図やメモを使う
という特徴があります。
分かりやすさが最大の営業スキルだということです。
リース営業で商談を成功させるための実践プロセス
ここからは、机上の話ではなく現場でそのまま使える動き方を分解します。
リース営業はセンスではなく、再現性のある型で勝つ仕事です。
この流れを体に染み込ませると、商談の成功率は一気に安定します。
アポ前に8割が決まっているという現実
リース営業は、商談当日のトークよりも事前準備でほぼ勝負が決まります。
準備不足のまま訪問すると、どれだけ話しても「検討します」で終わります。
最低限、以下は必ず押さえます。
- 業界の設備投資タイミング
- その会社の規模感と成長フェーズ
- 想定される決裁者の役職
ここで重要なのは、調べすぎないことです。
完璧を目指すと動けなくなります。
「仮説を持って聞きに行く」これで十分です。
初回商談は売らないと決める
成果が出ない営業ほど、初回商談で決めにいきます。
成果が出る営業ほど、初回は売らないと決めています。
初回商談のゴールは以下です。
- 課題の全体像を把握する
- 購入という選択肢を一度整理する
- リースが当てはまりそうかを見極める
この段階で契約の話をしないことで、
顧客は「この人は売り込みじゃない」と感じます。
二回目商談で一気に温度を上げる
二回目商談は、設計した提案をぶつける場です。
ここで重要なのは、選択肢を三つ出すことです。
- 購入した場合
- 借入した場合
- リースした場合
この三つを並べて説明すると、
顧客は自然と比較検討モードに入ります。
| 選択肢 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 購入 | 資産になる | 資金流出が大きい |
| 借入 | 所有できる | 返済負担が残る |
| リース | 資金を残せる | 総額は高くなる |
ここでリースのデメリットも必ず話すことがポイントです。
これを隠すと、一気に信用を失います。
決裁者に刺さる一言を用意する
リース営業の最終局面では、
細かい条件よりも一言の整理が効きます。
例えば、
- 今回は設備を持つより、資金を守る判断です
- 成長スピードを落とさないための選択です
こうした言葉は、決裁者が社内説明をするときにも使われます。
相手が説明しやすい言葉を渡すことも営業の仕事です。
クロージングは確認で終わらせる
リース営業のクロージングは、詰めではありません。
確認です。
- この条件で進める理解で合っていますか
- 他に不安点は残っていませんか
ここで沈黙があれば、そこが最後の論点です。
無理に埋めず、一つずつ解消する。
それが結果的に最短ルートになります。
リース営業で長く成果を出し続けるための考え方
ここはテクニックではなく、スタンスの話です。
リース営業は短期で数字を作ることもできますが、本当に評価されるのは「長く安定して成果を出す人」です。
その人たちには、共通した考え方があります。
リース営業は契約後からが本番
多くの新人が勘違いしがちですが、
契約はゴールではなくスタートです。
- 稼働状況はどうか
- 想定通り使われているか
- 困りごとは出ていないか
ここをフォローする営業は、次の案件が自然に生まれます。
逆に、契約後に音信不通になると、
「もうあの会社には頼まない」と静かに切られます。
目先の数字より紹介を取りに行く
短期数字を追いすぎると、リース営業は一気に苦しくなります。
なぜなら、単発案件は必ず尽きるからです。
成果を出し続ける営業は、
- 同業紹介
- 税理士からの紹介
- 仕入先からの紹介
この三つを意識的に増やしています。
そのために必要なのは、
「売る営業」ではなく「相談される営業」になることです。
勉強し続ける人だけが生き残る理由
リース営業は、環境変化の影響を強く受けます。
- 金利環境の変化
- 税制や会計ルールの変更
- 設備の入れ替えサイクル短期化
これらに無関心だと、
提案はすぐに古くなります。
といっても、難しい勉強は不要です。
- 業界ニュースを流し読みする
- 先輩の商談を盗み聞きする
- 失注理由を必ず振り返る
この積み重ねが、提案の厚みになります。
リース営業に向いている人の特徴
最後に、向き不向きの話をします。
リース営業に向いている人は、実はかなりはっきりしています。
- 人の話を最後まで聞ける
- 数字を避けずに向き合える
- 仕組みを理解するのが好き
- 即答せず考えることができる
逆に、
勢いだけで押し切る営業スタイルの人は、
どこかで必ず壁にぶつかります。
リース営業は、静かに信頼を積む仕事です。
派手さはありませんが、その分、武器になります。
まとめ リース営業で成果を積み上げるために最も大切なこと
リース営業は、モノを売る営業ではありません。
顧客のお金の使い方と意思決定を支える営業です。
成果を出す人は、共通して次の点を押さえています。
- リースを商品ではなく選択肢として提案している
- 価格ではなく資金設計と経営視点で話している
- 契約前より契約後の関係づくりを重視している
派手なトークや強引なクロージングは必要ありません。
必要なのは、丁寧に考え、正直に伝え、信頼を積み重ねる姿勢です。
リース営業は地味ですが、再現性が高く、武器になります。
今回の内容を一つずつ実践すれば、数字は必ず安定していきます。

