新人営業が広告代理店で信頼をつかむヒアリング術 実例付きでわかる商談成功のコツ

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広告代理店で営業を始めたばかりの新人が、最初に直面する壁――それが「ヒアリング」です。クライアントの課題を正しく引き出せなければ、どんなに提案資料を作り込んでも響かない。逆に、最初のヒアリングで信頼を得られれば、その後の商談は驚くほどスムーズに進みます。

本記事では、新人営業が広告代理店で成果を上げるためのヒアリングスキルを、実際の現場で使える質問例会話の流れを交えながら徹底解説します。営業未経験でもすぐに実践できる内容にまとめていますので、明日の商談からすぐに活かせます。

この記事を読めば、

  • クライアントの本音を引き出すヒアリングの構成
  • 広告代理店特有の質問のコツ
  • 実際のヒアリングシート例
    が具体的に理解できます。

営業として成長したい、商談力を磨きたい、そんなあなたに向けた「ヒアリングの教科書」です。

目次

営業の第一歩は“聞く力”から始まる

新人営業が最初につまずくポイントの多くは、「話すこと」に意識が偏りすぎていることです。
広告代理店の営業は、プレゼン力よりも“聞く力”=ヒアリング力が圧倒的に重要です。

なぜヒアリングが営業の核心なのか

広告代理店のクライアントは、すでに「広告を出したい」という意識を持ってあなたに会っています。
しかし、彼らが本当に求めているのは「広告を出すこと」ではなく、「売上や認知などの課題を解決すること」です。

したがって、営業は単に「予算を聞く」「媒体を提案する」だけでは不十分です。
真の営業力とは、相手が気づいていない問題を見抜き、それを引き出す力にあります。
この力こそが、どんなに優れた資料よりも、どんなに洗練されたトークよりも、クライアントの信頼を生む最強の武器になります。

ヒアリングは「共感」と「構造化」の掛け算

新人営業が意識すべきは、相手の話を“共感しながら構造的に整理する”ことです。
ただ相づちを打つだけでは相手の信頼は得られません。
相手が語る「事実」と「感情」を分けて理解し、課題を明確化していく姿勢が重要です。

項目意識すべきポイント具体的な行動例
共感相手の立場を理解し、受け止める「なるほど、〇〇に課題を感じていらっしゃるのですね」
構造化話の中から情報を整理する「つまり、現状A→理想Bの間にCの課題があるということですね」
深掘り表面的な回答に留まらず掘り下げる「なぜそのように感じられるのですか?」

この3ステップを踏むだけで、ヒアリングの質は劇的に変わります。
特に新人営業は「話を整理しながら聞く」訓練を最初に身につけることが、将来的な提案力の基礎になります。

広告代理店のヒアリングで押さえるべき5つの基本質問

広告代理店の営業が行うヒアリングでは、ただ情報を集めるのではなく、“目的を明確にし、課題を言語化する”ことがゴールです。
そのために、まず覚えておくべき5つの質問項目があります。
これらを意識するだけで、会話の流れがスムーズになり、商談の「軸」がブレなくなります。

質問カテゴリ目的例文
① 目的確認広告のゴールを明確にする「今回の広告で、最も達成したい目的は何でしょうか?」
② ターゲット把握想定顧客を具体的にする「理想的な顧客像を、一言で表すとどんな方ですか?」
③ 現状分析現在の施策と結果を理解する「これまでどのような広告を実施されましたか?」
④ 課題抽出問題点と改善ポイントを明確にする「現状の広告で、うまくいっていないと感じる部分はどこでしょうか?」
⑤ 競合把握市場状況を理解する「競合他社で印象的だった広告はありますか?」

これら5つは、広告代理店のヒアリングにおける“設計図”のようなものです。
新人営業は、これらの質問を暗記して使うのではなく、相手の答えをもとに深掘りしていく柔軟さが求められます。

会話の流れを意識した質問の組み立て方

ヒアリングは、最初から細かく聞きすぎると相手が構えてしまいます。
ですので、次のような順序で自然な会話を設計するのがおすすめです。

  1. アイスブレイク(共通の話題でリラックスさせる)
     例:「最近SNS広告を活用されている企業さん、多いですよね」
  2. 目的確認(今回の打ち合わせのゴールを共有)
     例:「今日は御社の広告目的や課題を整理させていただければと思います」
  3. 現状把握・課題抽出(具体的に現状を掘り下げる)
  4. 理想像・成功イメージの共有
     例:「理想的な結果をイメージすると、どんな状態が成功と感じますか?」
  5. まとめ・確認(ヒアリング内容を整理して伝える)
     例:「では、本日の内容を整理しますと――」

この流れを自然に回せるようになると、相手は「話を理解してくれている」と感じ、信頼が一気に深まります。
新人営業がまず意識すべきは、相手の言葉を“正確に返す”こと。この「ミラーリング型ヒアリング」が、提案への布石になります。

新人営業でもできるヒアリングの流れと会話例

広告代理店の営業現場では、「何を」「どの順番で」聞くかがすべてを左右します。
ヒアリングの流れを理解しておくことで、焦らず自然な会話を展開でき、クライアントからの信頼を得やすくなります。

以下は、新人営業が初回商談で使える基本的なヒアリングの流れと会話例です。


① アイスブレイク(場を和ませる)

商談の最初の目的は「話しやすい空気づくり」です。
広告の話にすぐ入るよりも、まずは相手の緊張をほぐしましょう。

会話例

営業:「今日はお忙しい中ありがとうございます。最近、御社のSNSキャンペーンを拝見しました。あの企画、すごく話題になってましたね。」

ポイント

  • 相手が関わった施策やニュースを褒める
  • 情報収集力を見せる(事前リサーチが鍵)
  • 共通話題を見つけて“同じ目線”を作る

② ゴール確認(目的を明確にする)

次に、「今日の打ち合わせの目的」を共有します。
新人のうちはここを飛ばしてしまいがちですが、これを伝えるだけで商談が格段に整理されます。

会話例

営業:「本日は、御社の今後の広告展開について方向性を伺いながら、課題を整理できればと考えています。」

ポイント

  • “話を聞く姿勢”を明確にする
  • 自分が「売り込む側」ではなく「聞く側」であることを印象づける

③ 現状の把握(事実を整理する)

ヒアリングの本番です。
過去の施策や現在の取り組みについて、具体的な数字・手法を聞き出しましょう。

会話例

営業:「これまでどのような広告媒体を活用されてきましたか?」
営業:「反響が高かった施策はありましたか?」

ポイント

  • 数値や媒体名など“事実ベース”の情報を聞く
  • 深掘りは「なぜ」「どうやって」の二段構えで

④ 課題の抽出(感情を引き出す)

広告の真の目的は「成果を出すこと」です。
現状の不満や理想を聞くことで、課題を具体化します。

会話例

営業:「現在の広告で、うまくいっていない点を挙げるとしたらどこでしょうか?」
クライアント:「リーチは取れてるけど、コンバージョンが弱いんですよね」
営業:「なるほど、数字は取れていても、アクションに結びついていないと。」

ポイント

  • 感情を含む発言を拾ってオウム返し
  • 相手の言葉を使って要約し、理解度を示す

⑤ 理想像・成功イメージの共有

課題を整理したあとは、理想の姿を言語化します。
クライアントの「なりたい未来像」を共有することで、提案の方向性がブレなくなります。

会話例

営業:「理想的な状態をイメージすると、どんな反応を得たいとお考えですか?」
クライアント:「新商品のブランドイメージをしっかり定着させたいですね。」
営業:「つまり、売上だけでなく、認知とブランド理解の強化がゴールですね。」

ポイント

  • 「理想」=提案のゴール
  • このパートで得た情報が、企画提案書の“タイトル”になることも多い

⑥ まとめ・確認

最後に、ヒアリング内容を要約して再確認します。
これを怠ると、次回提案時に「話が違う」となるリスクがあります。

会話例

営業:「本日伺った内容を整理しますと――」
・現在の施策はSNS中心
・リーチはあるが購買につながっていない
・理想はブランドの定着
このような方向で次回ご提案させていただければと思います。

ポイント

  • 要約力が信頼に直結する
  • 相手が「この人、話をちゃんと聞いてくれてる」と感じる瞬間

この一連の流れを自然に回せるようになれば、新人営業でもベテラン並みの信頼感を演出できます。
大切なのは、「完璧に話すこと」ではなく「正確に聞くこと」。
ヒアリングとは、相手の中にある“言葉にならない課題”を形にする作業なのです。

広告代理店ならではのヒアリングのコツと注意点

広告代理店の営業ヒアリングには、他の業種にはない独特の難しさがあります。
なぜなら、クライアントが求めているのは「広告そのもの」ではなく、「広告を通じたビジネス成果」だからです。
つまり、単なる聞き取りではなく、“経営視点での課題抽出”が求められます。

ここでは、新人営業がやりがちな失敗と、プロが意識しているヒアリングのコツを整理します。


① 広告の話に入る前に「事業の全体像」を聞く

新人営業が最初にやりがちなミスが、「媒体ありきの会話」です。
たとえば「どんな広告を出したいですか?」から入ってしまうと、会話が浅くなります。

プロはまず、クライアントのビジネスモデル全体を把握します。
広告はあくまで“手段”なので、事業の目的・収益構造・強みを聞くことが先です。

会話例

営業:「御社の主要な顧客層と、収益の中心商品を教えていただけますか?」
営業:「新規顧客とリピート顧客の比率はどのくらいですか?」

この質問を投げかけるだけで、クライアントは「この営業、ちゃんと事業を理解しようとしている」と感じます。
これが信頼構築の第一歩です。


② 数字よりも“背景”を聞く

広告の世界では、数字(CTR・CVRなど)が重要視されますが、数字そのものよりも、その数字が生まれた背景を掘り下げることが大切です。

悪い例

営業:「クリック率は何%くらいでしたか?」

良い例

営業:「クリック率が高かった投稿には、どんな共通点がありましたか?」
営業:「なぜその時期の反応が良かったとお考えですか?」

数字の裏にある“行動や心理”を探る質問ができると、提案の質が一気に上がります。
データを「点」ではなく「線」で捉える姿勢が、プロの営業です。


③ クライアントの“真意”を引き出すための質問法

ヒアリングで特に難しいのが、本音を引き出すことです。
相手は初対面の営業にすべてを打ち明けるわけではありません。
だからこそ、質問の順番とトーンが重要です。

効果的な質問の順番

  1. 事実を聞く(「どんな広告をされていますか?」)
  2. 感想を聞く(「やってみてどう感じましたか?」)
  3. 意図を聞く(「なぜその方向を選ばれたのですか?」)

この3ステップで質問することで、相手の“思考の流れ”を自然に引き出すことができます。


④ 「提案モード」に入るタイミングに注意

新人営業がやりがちなもう一つのミスが、ヒアリング中に提案を始めてしまうことです。
相手が話している途中で、「それならこの媒体がいいですよ」と口を挟むのはNGです。

ヒアリング段階では、「理解する」ことに徹するのが鉄則。
提案は次回に回して構いません。むしろ、「聞き上手」な営業ほど次のアポイントを自然に取れるものです。


⑤ 情報を“構造化して記録”する

ヒアリング内容を聞きっぱなしにしてしまうと、次回提案時に整理ができません。
そのため、プロの営業は以下のような「ヒアリング整理シート」を使います。

項目内容メモ例
目的広告で何を達成したいかブランド認知拡大、リード獲得など
現状どんな施策を実施中かSNS広告・動画配信など
成果現状のKPI・数値CTR3%、CVR0.8%
課題うまくいっていない点訴求内容が弱い、ターゲットが広すぎる
理想成功と感じる状態ブランドイメージ向上と購買促進

このように情報を整理しておくことで、次回の提案資料作成がスムーズになります。
ヒアリングとは、“提案の設計図を作る作業”であると心得てください。

信頼を得る新人営業のヒアリングマナーとNG行動

どれだけ質問が上手くても、態度やマナーが悪ければ信頼は得られません。
特に広告代理店では、クライアントが「ブランドを預けるパートナー」として営業を評価するため、印象や立ち居振る舞いが非常に重要です。

ここでは、新人営業が意識すべきヒアリング時のマナーと、やってはいけないNG行動を具体的に紹介します。


① 「聞く姿勢」が信頼の8割を決める

ヒアリングの印象を決めるのは、質問内容よりも“聞き方”です。

たとえば、

  • クライアントの発言中に被せて話す
  • メモばかり取って目を合わせない
  • うなずきが浅い(反応が薄い)

こうした行動は、「興味がなさそう」「話を流している」と感じさせてしまいます。

理想的な聞き方

  • 相手が話し終わるまで1拍待つ
  • 「なるほど」「おっしゃる通りですね」など短い共感フレーズを挟む
  • メモは必要なときだけ、一度書いたら顔を上げてアイコンタクト

この3点を徹底するだけで、「この営業は真剣に聞いてくれている」と信頼を得られます。


② 「目的不明の質問」をしない

新人営業がやりがちなNG質問がこちらです。

NG例

「他に何か困っていることはありますか?」
「今後どんな広告を出したいとお考えですか?」

一見よさそうに見えますが、目的が曖昧な質問は、相手を困らせてしまいます。
質問には必ず“意図”と“ゴール”が必要です。

良い質問例

「現在のキャンペーンで最も課題を感じる点を教えていただけますか?」
→ 課題抽出が目的であることが明確。
「理想の顧客像をもう少し具体的にお聞きしてもよろしいでしょうか?」
→ ターゲット理解のための質問であると伝わる。

質問の意図が伝わると、相手は「整理して答えよう」と思ってくれます。
“相手の思考を導く質問”を意識することが大切です。


③ 「言葉の選び方」で印象が変わる

同じ内容を聞いても、表現の仕方で印象は180度変わります。
新人営業が気をつけるべきは、ネガティブワードを避けることです。

NGワード改善ワード
「間違ってますね」「ここは別の見方もできそうですね」
「それはできません」「その点は別の方法で解決できるかもしれません」
「競合はもっと出稿してますよ」「他社さんではこういう取り組みも増えてきています」

広告代理店の営業は、言葉を扱うプロとして見られます。
言い方一つで印象が変わるという意識を常に持っておくことが重要です。


④ 「沈黙」を恐れない

多くの新人営業は、会話の“間”を埋めようとして焦って話してしまいます。
しかし、プロは沈黙を「思考の時間」として活かします。

相手が考えているときは、無理に話さず、数秒間静かに待つ。
この“余白”があることで、相手は安心して深い話をしてくれます。
沈黙を恐れない営業ほど、ヒアリングの質が高くなります。


⑤ 「感謝」で締める

ヒアリングの最後は、「今日は貴重なお話をありがとうございました」で締めましょう。
そして、できれば翌日中にフォローメールを送ること。
内容を簡潔にまとめ、聞いたことを正確に整理して伝えるだけで、信頼度が上がります。

フォローメールの例

件名:本日の打ち合わせのお礼

本日は貴重なお時間をいただきありがとうございました。
お伺いした内容をもとに、次回ご提案資料を準備いたします。
共有させていただいた方向性に沿って、貴社のブランド価値向上に貢献できるよう進めてまいります。

この一通で、「丁寧に仕事をする人」という印象を確実に残せます。


ヒアリングのマナーとは、単なる形式ではなく、“相手への敬意を形にする技術”です。
新人のうちは、質問の上手さよりも「誠実な聞き方」を磨くほうが、結果的に信頼を得る近道になります。

まとめ ヒアリング力が新人営業を最速で成長させる

広告代理店で成果を出す営業は、例外なくヒアリングの達人です。
派手なプレゼンよりも、「相手の話を正確に聞ける力」が最も大きな武器になります。

この記事で紹介したポイントを振り返りましょう。

カテゴリ重要ポイント実践のヒント
ヒアリングの目的情報収集ではなく課題抽出「何を知りたいか」を明確にして質問する
基本の質問目的・ターゲット・現状・課題・競合5つの柱をベースに深掘る
会話の流れアイスブレイク→現状→課題→理想→確認構造的に進行して信頼を築く
注意点提案モードに入らない・数字の背景を聞く「なぜ」を繰り返して深掘る
マナー聞く姿勢・言葉の選び方・感謝で締める相手を主役にする意識を持つ

特に新人営業に伝えたいのは、完璧な質問よりも“誠実な姿勢”が信頼を生むということです。
たとえ会話に詰まっても、真剣に相手を理解しようとする態度は必ず伝わります。
その積み重ねこそが、次の提案、そして契約へとつながります。

ヒアリングは「営業の入口」であり、「信頼構築のスタート地点」です。
今日から一つでも意識を変えることで、あなたの商談力は確実に進化します。

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