新人営業として人材紹介業界に飛び込んだ瞬間、最初に立ちはだかる壁が「テレアポ」です。
「いきなり電話して何を話せばいいの?」「断られたらどう切り返せばいい?」——そんな不安を抱える新人営業の方は多いでしょう。
しかし安心してください。テレアポは話術の才能ではなく、型と準備で成果が決まります。
この記事では、実際の人材紹介営業で結果を出しているプロのトークスクリプト例文や、アポイント率を高める心理トリガーの使い方まで、徹底的に解説します。
読み終わる頃には、あなたも「電話が怖い」から「テレアポが得意」に変わるはずです。
さあ、営業の一歩を自信に変えるための実践型ガイドを始めましょう。
テレアポで成果を出す新人営業の思考法
まず最初に理解してほしいのは、テレアポは「売り込み」ではなく「会話の設計」だということです。
多くの新人営業が失敗する理由は、「商談を取らなきゃ」「相手を説得しなきゃ」と焦るあまり、一方的に話してしまう点にあります。
しかし人材紹介のテレアポにおいて重要なのは、相手が今どんな課題を抱えているのかを想像し、その“入り口”を作ること。つまり「話を聞いてもいいかも」と思ってもらう瞬間を生み出すことです。
テレアポ成功の公式
営業の世界には「数字の公式」はあっても、「気持ちの公式」はあまり語られません。
でも実は、テレアポの成果を左右するのは“感情の設計”です。
以下の公式を意識してみてください。
| ステップ | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| ① 心理の準備 | 相手の立場を想定 | 採用課題・繁忙期・職種特性を把握 |
| ② トーク設計 | 相手の反応を予測 | 「結論→理由→提案」の順で話す |
| ③ 感情の揺さぶり | 興味→共感→信頼 | 売り込みではなく“関心の共有”を目指す |
| ④ クロージング | 一歩先を提案 | 「一度情報交換だけでも」などハードルを下げる |
この流れを意識するだけで、通話の質がガラリと変わります。
「断られたら終わり」ではない
新人営業が最も恐れるのが「断られること」です。
しかし、断りは情報の宝庫。
相手が「今は必要ない」と言った理由を記録しておくことで、3ヶ月後の再架電で成果を出せるケースが非常に多いです。
テレアポは“その瞬間の勝敗”ではなく、“将来の布石”。
この視点を持てるかどうかが、営業の成長スピードを大きく左右します。
人材紹介営業で使えるテレアポの基本構成
どんなに話すのが得意な人でも、構成がないまま話すテレアポは失敗のもとです。
人材紹介営業でアポイントを取るには、「話の順番」と「聞き方」に一貫性を持たせることが鍵となります。
ここでは、成功率の高いテレアポの構成を分解して解説します。
テレアポの王道5ステップ構成
| ステップ | 目的 | 話す内容の例 |
|---|---|---|
| ① あいさつ・自己紹介 | 警戒を解く | 「突然のお電話失礼いたします。私、〇〇株式会社の△△と申します。」 |
| ② 要件の明確化 | 話す理由を伝える | 「採用活動に関する情報交換の機会を頂きたくご連絡いたしました。」 |
| ③ 興味づけ | 相手の関心を引く | 「同業他社でも採用が難航しているケースが多く、今お困りの企業様が多い状況です。」 |
| ④ メリット提示 | 話を聞く価値を示す | 「〇〇職種で採用が成功した具体事例を共有できます。」 |
| ⑤ アポイント提案 | 次のステップを促す | 「5分ほどオンラインでお話しするお時間をいただけませんか?」 |
新人営業がやりがちなNGパターン
- 「御社の採用は順調ですか?」といきなり聞く
→相手は「知らない人に答える義務がない」と感じます。
最初は“共通の話題”や“業界動向”から入るのが鉄則です。 - 「人材を紹介させてください」と即提案
→提案ではなく、まず“情報交換”という軽い目的に変える。
「一度、最近の採用動向について情報交換できればと存じます。」のように言い換えましょう。 - “沈黙が怖くて話し続ける”
→相手の反応を待てる営業ほど、信頼を得やすいです。
1〜2秒の間を恐れず、“余白”を作る勇気を持ちましょう。
成果を出す営業が必ず持つ「目的思考」
テレアポのゴールは“商談獲得”ではなく、「次の会話に進むこと」です。
つまり、「話を聞いてもいい」と思ってもらえた時点で勝ちです。
目的を“アポ獲得”に絞りすぎると、無意識に声が硬くなり、相手も構えてしまいます。
「相手の課題を知る場」と捉えるだけで、会話のトーンが柔らかくなり、成功率も上がります。
即使える人材紹介のテレアポ例文集【新人営業向け】
ここからは、実際に使えるテレアポの例文を紹介します。
どのスクリプトも、人材紹介の現場で成果を上げている構成をもとに作成しています。
ポイントは「完璧に暗記する」のではなく、自分の言葉に変換して自然に話すことです。
例文① 初回アプローチ編(新規企業向け)
「突然のお電話失礼いたします。
私、株式会社〇〇の△△と申します。
現在、〇〇業界の企業様で採用支援を行っておりまして、
特に〇〇職種の採用に課題を持つ企業様が増えており、ご状況をお伺いできればと思いお電話いたしました。実は、同業の△△社様でも〇〇ポジションの採用が難航しており、当社の支援で採用コストを約30%削減された実績がございます。
もし可能でしたら、5分ほどオンラインで情報交換のお時間をいただけませんでしょうか?」
ポイント解説
- 「採用支援を行っておりまして」→自社の事業を“自然に説明”
- 「同業他社の実績を具体的に伝える」→信頼と関心を獲得
- 「情報交換」→提案よりも軽い印象でアポ率が上がる
例文② 再アプローチ編(過去に断られた企業向け)
「以前、一度お電話させていただいた株式会社〇〇の△△でございます。
その節は貴重なお時間をありがとうございました。前回お話しした際は採用を一時停止されていたと伺いましたが、
最近〇〇職種の転職市場が再び活発化しており、
新しい採用トレンドについて情報共有できればと思いご連絡いたしました。今回はご提案ではなく、他社様の最新事例を簡単にご紹介させていただければと存じます。」
ポイント解説
- 「ご提案ではなく情報共有」→心理的抵抗を軽減
- 「以前お話しした件で」→関係の継続をアピール
- 再アプローチは3ヶ月〜6ヶ月の間隔を空けるのがベスト
例文③ 決裁者不在時の担当者対応編
「突然のお電話失礼いたします。株式会社〇〇の△△でございます。
採用ご担当の方におつなぎいただければと存じますが、ご不在でしょうか?ありがとうございます。それでは簡単にご説明させていただきます。
当社では、〇〇職種に特化した人材紹介を行っており、同業他社様でも採用のご相談を多くいただいております。担当者様にご確認の上で、改めてご連絡差し上げたいのですが、
〇〇様のお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
ポイント解説
- 「一方的に要件を伝えず、確認を挟む」→社内で共有されやすくなる
- 「担当者名を聞く」→次回架電の成功率を上げる布石
例文④ クロージング(アポ獲得)編
「今すぐではなくても構いません。
採用に関する情報交換だけでも、10分ほどお時間をいただけますか?実際に他社様でも“情報交換”をきっかけに、思わぬ採用のヒントを得られたというお声を多くいただいております。」
ポイント解説
- “情報交換”という言葉を繰り返すことで、抵抗感を下げる
- 相手の“負担を軽く見せる”ことで自然にYESを引き出す
例文⑤ 応答なし・留守電対応編
「突然のお電話失礼いたします。株式会社〇〇の△△でございます。
採用ご担当者様に向けてご連絡いたしました。同業他社様でも〇〇職種の採用が難航しており、
一度、採用状況について情報共有の機会を頂ければと思っております。また改めてご連絡させていただきます。
株式会社〇〇の△△(電話番号000-0000-0000)までお願いいたします。」
ポイント解説
- 留守電でも“声の印象”が大切。明るく、早口にならないよう注意
- 要件を簡潔に伝え、「再架電の意図」を残すことで印象を良くする
テレアポ成功率を上げるトークスキルと心理テクニック
例文を覚えるだけでは、結果が出ないのがテレアポの難しさです。
ここからは、実際にアポ率を上げるための「話し方」「間」「声の使い方」など、プロの営業が使う心理テクニックを徹底解説します。
話す順番は「結論→理由→共感」で構成する
人は「何をしてほしいのか」を先に理解しないと、聞くモードに入りません。
そのため、テレアポでは最初の10秒で“目的と利点”を提示することが重要です。
悪い例:
「採用に関するお話をしたくお電話しました。実は〜(説明が続く)」
良い例:
「採用コストを削減した事例があり、情報共有できればと思いお電話しました。」
→先に「価値」を伝えてから説明することで、相手の“聞く意欲”を引き出せます。
トーンは「明るさ7割+落ち着き3割」
営業電話では「テンションが高すぎる」よりも、「落ち着いた明るさ」が信頼を得ます。
採用担当者は1日に何本も営業電話を受けているため、元気すぎる声は逆に警戒されるのです。
理想は、笑顔を保ちながら少しゆっくり話すこと。
表情が声に反映されるので、電話でも安心感を与えられます。
“間”を使える営業が信頼を勝ち取る
新人営業の多くが苦手なのが沈黙(間)です。
しかし、プロの営業は意図的に「2〜3秒の間」を入れます。
これは、相手に考える余裕を与える時間であり、会話の主導権を握るためのテクニックでもあります。
例:「実際、採用に少しお困りの部分はございますか?」
→この後、すぐに話さずに1〜2秒の間を取る。
相手が自然に話し出したら、それが“本音”を引き出すサインです。
「YESセット」で自然に同意を得る
心理学的に、人は連続してYESと答えると、その後もYESを言いやすくなる傾向があります。
これを営業では「YESセット」と呼びます。
例えば以下のように使います。
「採用活動、少しお忙しい時期ですよね?」(YES)
「最近、人材の動きも活発になってますよね?」(YES)
「そんな中で、他社の採用成功事例など気になりませんか?」(YES)
3回YESを引き出したあとで、
「では5分ほど、情報交換のお時間を頂けませんか?」
と提案すると、心理的に断りづらくなるのです。
断られた時の切り返しトーク
「今は大丈夫です」と言われた瞬間に「失礼しました」で終わるのはもったいないです。
ここでの一言が将来のチャンスを生む鍵になります。
| 状況 | NG対応 | 改善例 |
|---|---|---|
| 「今は必要ない」 | 「かしこまりました、失礼します」 | 「承知いたしました。ちなみに採用再開のご予定はございますか?」 |
| 「紹介会社は使っていない」 | 「そうでしたか、また機会があれば」 | 「最近では“ピンポイント採用”だけ依頼される企業様も増えています。御社でも今後そういったニーズが出た際に、再度ご連絡差し上げてもよろしいでしょうか?」 |
| 「他社でお願いしている」 | 「そうなんですね」 | 「御社のように複数の紹介会社を併用される企業様も多いです。比較の参考情報として、他社事例をお渡しすることもできますがいかがでしょうか?」 |
“一言で切らずに、未来に繋げる”。これがテレアポで最も大事な考え方です。
新人営業が最短で上達するための練習法と改善サイクル
テレアポは、話し方の技術だけでなく、「試行回数」と「フィードバックの質」で成長スピードが決まります。
ここでは、新人営業が最短で成果を出すための練習法と改善のコツを紹介します。
ステップ① 録音して“自分の声”を聞く
多くの新人営業は、自分がどんな話し方をしているかを客観的に知らないまま電話をしています。
しかし、録音して自分の通話を聞くと、「思っていたより早口」「説明が長い」「声が小さい」など、改善点が一目瞭然です。
おすすめの練習サイクル:
| 手順 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| ① 録音する | 1日のうち2〜3件を選ぶ | 内容よりも“トーンと流れ”をチェック |
| ② 振り返る | 相手の反応を記録 | 「どのタイミングで興味を持ったか」を分析 |
| ③ 改善する | 話す順番・速度を調整 | 同じフレーズでも印象が変わる |
| ④ 再実行 | 翌日にすぐ試す | 改善は24時間以内が効果的 |
この繰り返しが、最も実践的なトレーニングになります。
ステップ② 「トーク台本」ではなく「トーク設計図」を作る
スクリプトを丸暗記するよりも、“構成の設計図”を覚える方が応用力が上がるのです。
以下のようなテンプレートを作っておくと、どんな相手にも柔軟に対応できます。
| トーク要素 | 話す目的 | 自分の言葉での例 |
|---|---|---|
| オープニング | 警戒を解く | 「突然のお電話失礼します。〇〇の△△です。」 |
| 共感 | 相手の状況に寄り添う | 「この時期は採用のご相談も多いですよね。」 |
| 興味づけ | 他社事例で関心を引く | 「実は〇〇業界の他社様でも同じ課題がありまして…」 |
| 提案 | 情報交換を提案 | 「5分ほどお話しできればと思いまして。」 |
| クロージング | 次の行動を促す | 「〇日か〇日、どちらがご都合よろしいでしょうか?」 |
このように構成の「意味」を理解して話すことで、どんな相手でも臨機応変に対応できる営業へと成長します。
ステップ③ フィードバックを「数字」と「感覚」で取る
営業の上達に欠かせないのが“自分のデータ化”です。
以下のように、日々のテレアポ結果を簡単に記録していきましょう。
| 日付 | 架電件数 | 接続数 | アポ数 | 反応率 | コメント |
|---|---|---|---|---|---|
| 10/21 | 40件 | 12件 | 2件 | 16% | 朝の時間帯に反応良い |
| 10/22 | 38件 | 9件 | 0件 | 0% | 反応薄。トーンを落とした影響か? |
| 10/23 | 35件 | 10件 | 3件 | 30% | 結論→理由→共感の順で改善した結果◎ |
数字での改善+感覚での記録をセットで続けることで、自分の成功パターンが見えてきます。
ステップ④ 「ロープレ×実践×振り返り」をセットにする
最も成長する営業は、練習を“リアルに近い形”で行っています。
具体的には以下のサイクルです。
- ロープレ(同僚・上司に架電練習)
- 実践(実際の顧客に架電)
- 振り返り(録音を聞いてフィードバック)
この流れを毎週1回続けるだけで、トークの完成度と自信が格段に上がります。
また、ロープレの際には「NGワードを探す」よりも、“相手の感情が動いた瞬間”を見つけることが重要です。
なぜなら、テレアポでの成果は“共感を作れた瞬間”に生まれるからです。
ステップ⑤ 「自分なりの成功パターン」をメモ化する
営業は他人のマネから始まり、最後は自分の型を持つことがゴールです。
成功した通話やうまくいった切り返しは、ノートやメモアプリに残しておきましょう。
例:
- 「社長が出た時は“短く情報共有だけでも”が刺さった」
- 「業界動向を一言添えると興味を持ってもらいやすい」
- 「声のトーンを落とした方が安心感が出る」
これを1ヶ月続けると、自分だけの「勝ち筋」が見えてきます。
新人を抜け出す最短ルートは、“日々の小さな気づきを記録すること”なのです。
まとめ:テレアポは「数」ではなく「質」で勝てる営業スキル
新人営業にとってテレアポは、最初の関門であり、最も成長を実感できるステージです。
「断られても続ける」ことで、確実に会話の質が磨かれていきます。
この記事で紹介したポイントをまとめると、次の通りです。
| 成果を出すポイント | 具体的な実践法 |
|---|---|
| 構成を明確にする | 「あいさつ→興味づけ→価値提示→提案」の順で話す |
| 相手の心理を読む | 「断り=情報」として次回に活かす |
| “情報交換”を提案する | 「商談」よりもハードルが低く、成功率が高い |
| 自分の声を録音して改善 | 客観的に聞くことで、無意識の癖を修正できる |
| トークを設計図で覚える | 台本ではなく、構造で理解することで応用力アップ |
テレアポは、単なる電話営業ではなく、「信頼を作る第一歩」です。
相手の時間を奪うのではなく、相手にとって価値ある情報を提供する行為だと捉えれば、自然と会話も変わります。
そして何より大切なのは、「断られても次に繋げる力」。
この考え方を持つ営業こそ、長期的に成果を出し続けることができます。
今日の1本の電話が、未来の大きな成約の第一歩になる。
その意識で、一つひとつの通話を磨いていきましょう。

