営業で成果を出すためには「何を話すか」と同じくらい「何を話さないか」が重要です。何気ない一言が顧客の信頼を失う原因になり、成約のチャンスを逃すこともあります。本記事では、新人営業からベテランまで押さえておくべき営業NGワードと、その代わりに使うべき言い回しを具体的に解説します。
これを読むことで、顧客との会話で地雷を踏まず、信頼を保ちながら成約率を高める営業トークを身につけることができます。
営業NGワードの基本的な考え方
営業におけるNGワードとは、顧客の信頼や好意を損なう可能性が高い言葉や表現を指します。使ってしまうと、会話の流れが止まったり、相手の警戒心が一気に高まったりします。営業マンとしては避けるべきですが、意識していないと日常的に使ってしまうケースが多いのも事実です。
NGワードが危険な理由
- 心理的距離を広げる
ネガティブな印象を与え、相手が心を閉ざしてしまう。 - 信頼感を損なう
誇張や無責任な言葉は、プロとしての信用を失わせる。 - 商談の主導権を奪われる
顧客が話を打ち切ったり、交渉を不利に進められたりする原因になる。
よくあるNGワードのパターン
- 無責任・根拠不足の言葉
- 顧客を否定する言葉
- 威圧的・高圧的な言葉
- 過度に営業色の強い売り込みワード
営業においては「何を言わないか」も戦略のひとつです。NGワードを理解し、意識的に排除することが会話力の向上につながります。
信頼を失う無責任なNGワード
営業現場で特に危険なのが、根拠や裏付けのない言葉です。一瞬は顧客の期待を引き上げても、後から信用を失うリスクが極めて高いです。
「絶対」「間違いないです」
この言葉は一見、自信を持った発言のように聞こえますが、ビジネスでは100%の保証は存在しないのが現実です。後から結果が異なった場合、「あの時、絶対と言ったじゃないか」と信頼を大きく損ないます。
代替表現としては
- 「これまでの事例では非常に高い成果が出ています」
- 「現状の条件では、成功の可能性が高いと考えています」
といった根拠付きの自信表現に置き換えましょう。
「多分大丈夫です」
これは自信のなさが透けて見える典型的な言葉です。顧客は営業マンの言葉を判断材料にするため、あいまいな表現は不安を与えます。
代わりに
- 「確認した上でご連絡します」
- 「条件を整理して再度ご提案します」
と、次の行動を明確にする返答が適切です。
無責任な言葉は、短期的な好印象を得られても長期的な信頼は得られません。 営業は「信頼貯金」を積み上げる仕事であることを意識しましょう。
顧客を不快にさせる否定的なNGワード
営業において、顧客の意見や考えを正面から否定する言葉は関係を一瞬で冷やす危険ワードです。たとえ相手の理解が間違っていても、まずは受け止める姿勢が必要です。
「それは違います」
顧客の意見を即座に否定する表現は、対立構造を作り出す危険があります。相手は「この人は自分を理解してくれない」と感じ、心を閉ざしてしまいます。
代替表現としては
- 「おっしゃる点も一理あります。加えて別の視点もあります」
- 「その点について、別の事例もご紹介できます」
のように、相手の意見を受け止めた上で補足する方法が効果的です。
「いや、それは…」
会話の頭に「いや」をつける癖も要注意です。軽い口癖でも、相手は否定された印象を受けます。
言い換えるなら
- 「なるほど、その点についてはこういう見方もあります」
- 「興味深いですね、実はこういう事例もあります」
と、肯定から入るのがベストです。
否定から始まる会話は、顧客との信頼構築にマイナスです。 営業では「相手の立場に立ったうえで意見を伝える」スキルが不可欠です。
威圧的に聞こえる高圧的なNGワード
営業マンが意図していなくても、言葉の選び方によっては顧客にプレッシャーや不快感を与えてしまうことがあります。特に初対面や信頼関係が浅い段階では注意が必要です。
「今すぐ決めてください」
即決を迫る言葉は、短期的には契約につながることもありますが、顧客の納得感を削ぎ、後悔や解約につながるリスクが高いです。
代わりに
- 「条件が合うようでしたら、今月中にご検討いただけますと助かります」
- 「ご判断のために必要な情報はすべてお伝えしますので、安心してご検討ください」
と、相手の意思決定を尊重する表現に変えましょう。
「他社より安いですよ」
価格競争を前面に出すと、自社の価値ではなく価格だけで比較される関係になってしまいます。また、安さを強調しすぎると「質が低いのでは」という不安を与えることもあります。
代替表現として
- 「費用対効果で見てもご満足いただける内容です」
- 「このプランなら、御社の課題解決に最も効果的です」
と、価格以外の価値を中心に提案することが重要です。
営業は顧客の意思を尊重しながら背中を押す仕事です。 高圧的な表現を避け、納得感と信頼感を両立させましょう。
営業色が強すぎる押し売りNGワード
営業の世界では、売り込み感が強すぎる言葉は顧客の警戒心を一気に高めます。特に現代の顧客は情報感度が高く、過度な営業トークには敏感です。
「絶対お得ですから」
この言葉は一見ポジティブですが、顧客の価値観や状況を無視している印象を与えます。「誰にとってお得なのか」が説明されていないため説得力に欠けるのです。
代わりに
- 「御社の現状を踏まえると、コスト削減効果が大きく期待できます」
- 「過去の事例では同業他社様で○%のコスト削減が実現しています」
と、根拠と対象を明確にするのが効果的です。
「この機会を逃すと損します」
危機感を煽る手法は短期的な契約獲得には有効ですが、顧客が冷静になった瞬間に不信感へと変わります。
言い換えるなら
- 「この条件は今月までご案内できる予定です」
- 「この期間は特典が適用されるため、より有利に導入いただけます」
と、事実ベースの情報提供に留めることが大切です。
押し売り感は信頼を削ります。 顧客が自ら「欲しい」と思える流れを作るのがプロの営業です。
営業NGワードと代替表現の早見表
これまで紹介したNGワードを整理し、現場ですぐに使える代替表現を表にまとめます。営業研修や自己学習の際に活用できる便利なチェックリストです。
NGワード | 問題点 | 推奨する代替表現 |
---|---|---|
絶対・間違いないです | 根拠がなく信頼を損なう | 「これまでの事例では非常に高い成果が出ています」 |
多分大丈夫です | 自信のなさを伝えてしまう | 「確認の上でご連絡します」 |
それは違います | 顧客を否定する印象を与える | 「おっしゃる点も一理あります。別の視点もあります」 |
いや、それは… | 否定から入るため反発を招く | 「なるほど、その点についてはこういう見方もあります」 |
今すぐ決めてください | 高圧的で納得感を奪う | 「条件が合えば今月中にご検討いただけると助かります」 |
他社より安いですよ | 価格だけで比較されやすい | 「費用対効果でご満足いただけます」 |
絶対お得ですから | 説得力がなく押し売り感が強い | 「御社の現状ではコスト削減効果が期待できます」 |
この機会を逃すと損します | 危機感を過剰に煽る | 「この期間は特典が適用されます」 |
この早見表を手元に置いて会話を見直せば、営業トークの精度は確実に向上します。
まとめ
営業で成果を上げるためには、何を話すかだけでなく何を話さないかも極めて重要です。無責任な言葉、否定的な表現、高圧的な要求、押し売り感のあるワードは、顧客の信頼を損なう原因になります。
本記事で紹介した代替表現を活用すれば、顧客の警戒心を和らげ、信頼を軸にした商談が可能になります。営業トークの質は、日々の言葉選びの積み重ねで磨かれます。