新人営業として働き始めると、まず最初に直面するのが「タスクが多すぎて整理できない」という壁です。
アポイント、電話、資料作成、報告、社内連携――どれも大事なのに、優先順位がつけられず時間だけが過ぎていく。
しかし、売れている営業ほど“やるべきことの整理と順序づけ”が徹底しています。
タスク管理を制する者は、営業のスピードも成果もコントロールできるのです。
この記事では、現役トップ営業が実践している「新人営業でもすぐ実践できるタスク管理の例」を紹介します。
一日の行動整理から週単位の管理術、さらに使いやすいテンプレートまで、実践的に解説します。
明日から迷わず動ける“営業タスク設計の型”がここにあります。
新人営業にタスク管理が必要な理由
営業の仕事は、数字だけでなく「行動の質と順序」で成果が決まります。
新人のうちは、とにかく行動量を増やそうとしますが、「何を・いつ・どの順番でやるか」が整理されていないと、努力が成果につながりません。
ここではまず、なぜ新人営業にタスク管理が不可欠なのかを整理します。
1. 「やるべきこと」が多すぎる職種だから
営業職は、1日で複数の業務を同時並行でこなす必要があります。
たとえば以下のような業務が日常的に発生します。
| 業務カテゴリ | タスク内容の例 |
|---|---|
| 新規営業 | テレアポ、メール送信、リスト整理 |
| 商談準備 | 資料作成、事前調査、提案書作成 |
| 顧客対応 | フォロー連絡、クレーム対応、請求処理 |
| 社内業務 | 日報、会議、上司報告、CRM入力 |
| 自己成長 | トーク練習、商品理解、勉強会参加 |
これらを頭の中だけで管理するのは不可能です。
タスクを見える化することで、行動に無駄がなくなります。
2. 優先順位を間違えると成果が出ない
営業では、「全部大事」に見えるタスクの中から、“今最も成果につながる仕事”を見極める必要があります。
たとえば、資料作成に時間をかけすぎてアポイントが取れない場合、結果として数字が伸びません。
優先順位を決める軸
| 優先度 | 判断基準 | 例 |
|---|---|---|
| A(最優先) | 売上・顧客満足に直結する行動 | 商談・アポ・フォロー |
| B(中優先) | 売上を支える行動 | 資料作成・報告書 |
| C(低優先) | 間接的な行動 | 社内雑務・整理作業 |
新人営業のうちは、この「Aタスク」をいかに増やすかが成長スピードを決めます。
3. タスクを管理することで「再現性」が生まれる
営業の成果は、「偶然の成功」ではなく「再現できる成功」で評価されます。
毎日のタスクを管理・記録することで、どの行動が結果につながったかを分析できます。
例:
月初にアポ数が減った → 午前の架電時間が減っていた → 翌月は9時〜11時に固定
このように、行動をデータで見直せるのがタスク管理の最大のメリットです。
“行動を見える化”=“成長を数値化”することに繋がります。
成果を出す新人営業のタスク管理ステップ
新人営業が実際にタスク管理を行う際は、「整理 → 分類 → 優先 → 実行」の4ステップを徹底することが重要です。
この流れを仕組み化できれば、どんなに多忙でも迷わず動けるようになります。
ステップ1:タスクをすべて書き出す(見える化)
まず最初にやるべきことは、頭の中にある「やること」を全部書き出すことです。
思考を整理せずに仕事を始めると、重要なタスクを見落としやすくなります。
書き出しのポイント
- 紙でもデジタルでもOK(最初はノートで十分)
- 「やりたい」「やらなきゃ」も全部書く
- 所要時間や期限はこの段階では気にしない
例:
・B社への見積り送付
・テレアポ20件
・明日の商談資料作成
・上司に報告書送信
・顧客Aへのフォロー電話
書き出すだけで頭がスッキリし、「どれから手をつけるか」が見える化されます。
ステップ2:タスクを「種類別」に整理する
次に、書き出したタスクをカテゴリ別に仕分けします。
新人営業がよく使うのが、次の5分類です。
| カテゴリ | 内容 | 代表的なタスク例 |
|---|---|---|
| 新規活動 | 売上を生む行動 | テレアポ、訪問、DM送信 |
| 顧客対応 | 信頼を守る行動 | フォロー、クレーム対応 |
| 準備 | 成果を支える行動 | 提案書、資料作成 |
| 社内業務 | 組織の一員としての行動 | 日報、会議、CRM入力 |
| 成長 | 自己投資の行動 | トーク練習、読書、研修参加 |
カテゴリごとに分けることで、“自分が今どんな行動に時間を使っているか”が明確になります。
ステップ3:優先順位をつける(緊急×重要マトリクス)
次に行うのが、「緊急度」と「重要度」でタスクを仕分けする作業です。
これは有名な“アイゼンハワーマトリクス”を営業用に応用した方法です。
| 優先エリア | 内容 | 行動例 |
|---|---|---|
| 第1領域(緊急かつ重要) | 今すぐやる | 今日中の商談準備、顧客対応 |
| 第2領域(重要だが緊急でない) | 計画的にやる | 提案書改善、資料精査 |
| 第3領域(緊急だが重要でない) | 人に任せる | 社内雑務、定型報告 |
| 第4領域(緊急でも重要でもない) | やらない | SNS閲覧、目的のない会話 |
この仕分けを朝・夜どちらかで行うだけで、ムダな行動が一気に減ります。
ステップ4:実行スケジュールに落とし込む
最後に、優先度を考慮してタスクを時間軸に配置します。
ここで意識すべきは、「集中時間を確保する」ことです。
1日のタスクスケジュール例
| 時間帯 | タスク内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 9:00〜10:30 | テレアポ20件 | 新規顧客アプローチ |
| 10:30〜11:30 | 商談準備 | 提案内容の精度向上 |
| 13:00〜15:00 | 商談2件 | クロージング活動 |
| 15:00〜16:30 | 顧客フォロー・メール | 信頼関係の維持 |
| 16:30〜17:30 | 報告書・整理 | PDCAの実行 |
重要なのは、「時間の使い方をパターン化する」こと。
この型ができると、毎日が安定して成果につながるようになります。
タスク管理を定着させるためのツールとテンプレート活用法
タスク管理を「やる気」だけで続けるのは難しいです。
継続するためには、“仕組みで管理する”ことが重要。
ここでは、新人営業でも使いやすいおすすめのツールと、即実践できるテンプレート例を紹介します。
1. 紙の「タスクリスト」から始める
デジタルツールに慣れていない新人は、まず紙のToDoリストから始めるのが効果的です。
手書きのリストは、視覚的にわかりやすく達成感も得やすいのが特徴です。
手書きタスクシート例
| 優先 | タスク | 期限 | 状況 |
|---|---|---|---|
| ★★★ | B社提案書修正 | 今日17時 | 実施中 |
| ★★ | テレアポ20件 | 今日午前中 | 未実施 |
| ★ | 日報作成 | 終業前 | 未実施 |
ポイント:
- 朝に書いて夜に消すだけで達成感を得られる
- 重要度を「★」でつけると優先順位が見える
- アナログでも十分に成果を出せる仕組みになる
2. デジタル管理ツールを活用する
慣れてきたら、GoogleスプレッドシートやTrello、Notionなどの無料ツールでタスクを可視化します。
特に新人営業におすすめなのが、以下の3ツールです。
| ツール名 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| Googleスプレッドシート | シンプルで共有が簡単 | 上司やチームと情報共有したい人 |
| Trello | カード形式で進捗を直感的に管理 | 視覚的にタスクを動かしたい人 |
| Notion | タスク・メモ・資料を一元化 | 管理項目を自分でカスタマイズしたい人 |
3. 営業特化型テンプレート(Excel管理例)
現場の営業チームでは、Excelを使った簡易テンプレートが最も汎用的です。
以下のように作ると、日次・週次のタスク進捗を一目で確認できます。
営業タスク管理テンプレート例
| 日付 | タスク名 | カテゴリ | 優先度 | 状況 | メモ |
|---|---|---|---|---|---|
| 10/28 | A社商談準備 | 商談 | 高 | 完了 | 資料更新済 |
| 10/28 | テレアポ30件 | 新規 | 中 | 実施中 | 反応率15% |
| 10/28 | フォロー連絡3件 | 顧客対応 | 高 | 未実施 | 明日AM対応予定 |
| 10/28 | CRM入力 | 社内業務 | 低 | 完了 | – |
ポイント:
- 色分けで優先度を視覚化(高=赤、中=黄、低=緑)
- 状況をプルダウンで選択(未実施/実施中/完了)
- 週次で「未完了タスク数」を自動集計すると分析可能
4. 「営業日報」とタスク管理を連動させる
タスク管理と日報を別々に書いていると、二度手間になります。
新人営業の場合、「日報 = タスク管理」の形でまとめるのが効率的です。
日報兼タスク管理シート例
| 時間 | タスク | 結果 | 次のアクション |
|---|---|---|---|
| 9:00〜10:00 | テレアポ20件 | 3件アポ獲得 | スクリプト修正予定 |
| 10:00〜12:00 | 商談準備 | 完了 | 午後の商談で使用 |
| 13:00〜14:00 | B社商談 | 成約 | フォロー日設定 |
| 16:00〜17:00 | CRM入力・報告 | 完了 | 翌日の準備 |
タスクを「時間軸」で管理することで、行動の密度が上がります。
日報とタスクを一体化させる=改善スピードを最大化する方法です。
5. スマホでも確認できる環境を整える
営業職は外出が多いため、スマホでタスクを見れることが大切です。
移動中にToDoを確認できるだけで、「抜け漏れ」がほぼゼロになります。
おすすめ方法:
- Googleカレンダーとタスクを連動させる
- Trelloアプリで進捗をドラッグ更新
- メモアプリに「今日やる3つのこと」を常時表示
“タスクを思い出さなくていい環境”を作ることが、生産性の鍵です。
タスク管理を成果につなげるための実践テクニック
タスク管理を始めても、「作るだけで終わってしまう」「続かない」という新人は多いです。
ここでは、実際に成果を出す営業が実践している“管理を続ける工夫”を紹介します。
1. 「1日3つの最重要タスク」を設定する
新人営業のうちは、すべてを完璧にこなそうとすると挫折します。
そのため、“今日これだけは絶対にやる”タスクを3つに絞るのが効果的です。
例:今日の最重要タスク
- 午前中にテレアポ30件完了
- B社への提案書送付
- 午後の商談で次回アポを取る
「3つに絞る」ことで、タスクの優先順位が明確になり、集中力が3倍になります。
2. タスクを「時間単位」で管理する
ToDoリストだけでは実行できません。
実際に動く時間をカレンダー上にブロックするのがポイントです。
例:
- 9:00〜10:00 → テレアポ(20件)
- 10:00〜11:00 → 商談準備
- 13:00〜14:00 → A社提案
- 16:30〜17:00 → CRM入力
スケジュール上に書き込むことで、
「いつやるか」が明確になり、先延ばしを防げます。
“タスクは書くだけでなく、時間に予約する”
これが継続できる営業の基本です。
3. “5分でできるタスク”を貯金する
営業は突発的な予定変更が多い仕事です。
だからこそ、空いた時間を有効に使う仕組みを持つことが大切です。
5分でできるタスク例
- 見込み客リストの更新
- お礼メールの下書き
- 商談ログのメモ入力
- 明日のアポ確認
「ちょっと空いた時間」にこの“タスク貯金”を積み上げると、1日30分以上の差が生まれます。
4. 「終了タスクの見える化」でモチベーションを保つ
タスクを完了しても記録に残さないと、「達成感」が得られません。
達成感は継続の燃料です。
方法:
- 完了タスクを線で消す
- デジタル管理なら「完了リスト」に移動
- 週末に「今週の達成数」をカウント
見える成果=行動の自信。
営業は数字だけでなく、「動けた実感」でメンタルを保つ仕事です。
5. 「週単位の棚卸し」で改善点を洗い出す
タスク管理は、日々の実行だけでなく、週末の振り返りが最も重要です。
1週間の行動を振り返ることで、どのタスクが成果に直結していたかを見極められます。
振り返りフォーマット例
| 質問 | 記入例 |
|---|---|
| 今週うまくいった行動は? | テレアポを午前中に集中させたこと |
| やり残したタスクは? | フォロー電話2件 |
| 時間をかけすぎた業務は? | 商談資料の作り込み |
| 来週の改善テーマは? | 提案資料をテンプレ化する |
営業の成長は“タスクを振り返る力”で決まる。
PDCAの「C(Check)」を入れるだけで、翌週の効率が劇的に上がります。
6. 「タスク管理をチームで共有」する
個人で管理していると、モチベーションが下がりやすいです。
そこで、チームで共有・レビューし合う仕組みを導入すると、継続率が上がります。
チーム運用のコツ
- 朝会で「今日の優先タスク」を1分共有
- 終業時に「完了報告」をSlackなどで共有
- 週1回、チームレビューで成功パターンを交換
タスクの共有は、責任感と協働意識を育てる効果もあります。
「自分だけで頑張らない」ことが、結果的に成果を継続させる最短ルートです。
7. タスクを「行動ベース」で定義する
新人営業がよくやりがちな失敗が、「抽象的なタスク」を設定してしまうこと。
たとえば「商談を成功させる」「売上を上げる」などです。
これでは実行が曖昧になるため、「行動レベル」にまで分解する必要があります。
悪いタスク例
商談準備をする
良いタスク例
・提案資料を3ページ修正する
・競合情報を2社調べる
・ヒアリング質問を5つ書き出す
タスク=“動ける行動”として定義する。
これだけで、生産性が一気に上がります。
まとめ
新人営業にとってタスク管理とは、単なる「仕事の整理」ではなく、「営業としての思考と行動を鍛える習慣」です。
どんなに優れたトークを持っていても、行動を整理できなければ成果は安定しません。
逆に言えば、タスクを正しく管理できる営業は、自然と結果が出る営業になります。
本記事で紹介したポイントを整理すると、次の通りです。
| カテゴリ | ポイント | 期待できる効果 |
|---|---|---|
| タスク整理 | すべて書き出し→分類→優先づけ | 抜け漏れ防止・思考の明確化 |
| ツール活用 | 紙・Excel・Trello・Notionを活用 | 継続しやすい仕組み化 |
| 習慣化 | 朝に計画・夜に振り返り | 継続的な成長と改善 |
| 実践テクニック | 「3つの最重要タスク」を意識 | 集中力と成果の最大化 |
タスク管理の目的は「全部やること」ではなく、「成果につながる行動を選ぶこと」。
毎日の行動を整理できる新人は、半年後には確実に“数字で語れる営業”になります。
「忙しい営業」から「結果を出す営業」へ。
タスクを整えることが、あなたの営業人生を整える第一歩です。

